南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

南原充士の略歴

 

 南原充士

   なんばら・じゅうし    男

   昭和24年(1949)2月7日  
    
       茨城県常陸太田市で生まれ
          日立市で育つ。

   昭和47年東京大学法学部卒。

       団塊の世代
       入学に際して熾烈な大学紛争を経験。
       価値観の違いについて深く考える契機となる。


昭和47年以降、行政などの仕事にたずさわりながら、詩作を続ける。


   【 主な詩歴 】

 昭和46年ごろから48年ごろにかけて、詩誌に投稿

 東京詩学の会に出席(1年余り)

 昭和48年 同人誌「太刀」に参加 (吉田義昭ほか)

 その後、「鰐組」(仲山清)、「射撃祭」(高木秋尾)等に参加

 昭和56,7年個人詩誌「アレーテイア」刊行(3号まで)

 昭和63年から平成12年ごろにかけて、 詩作中断
   
 平成16年から、詩誌「SPACE」(大家正志主宰)に参加   

 平成18年ごろからインターネットを活用

・ブログ「越落の園」及びブログ「きままな詩歌の森」を開設
                  
     詩歌、エッセイ、評論を発表

・ネット上の詩のグループ「灰皿町」(清水鱗造主宰)に参加 

・SNS「灰皿町」(清水鱗造主宰)及びSNS「なにぬねの?」
        (岡田幸文主宰)に参加
     なお、 平成27年8月31日「なにぬねの?」終了。

mixiに参加(HN=なんばらじゅうし)

・平成21年春から、詩の合評会「09の会」(北見俊一主宰)に参加。
 
・平成21年秋から、詩誌「repure」(ルピュール)
        (北見俊一主宰)に参加。               
               
・平成22年から、ツイッターをはじめる。
       HN= Nambara_Jushi

・平成23年から、facebookをはじめる。
 
・平成28年から、詩誌「詩素」(洪水企画)に参加。
 
・平成28年 ディラン・トマスの詩の翻訳(英文和訳)に着手。
 
・平成29年から、松下育男氏の詩の教室(buoyの会)に参加。
                  詩誌「buoy」にも参加。
       
・平成30年 シェークスピアソネット集(154篇)の和訳に着手。

               
・最近では、以上のほか、電子書籍による小説の出版にも着手している。
 
令和2年2月頃から新型コロナウイルスの感染流行により、外出自粛。
時折、ZOOM によるリモートミーティングに参加し始める。



 【既刊詩集】

 「散歩道」(昭和51年刊・私家版・残部なし)
 「レクイエム」(昭和53年刊・私家版・残部なし)
 「エスの海」(昭和58年刊・私家版・残部なし)
 「個体から類へ涙液をにじませるfocusのずらし方・ほか」
      (平成13年刊・近代文芸社・残部あり)
 「笑顔の法則」(平成17年刊・思潮社・残部あり)
 「花開くGENE」(平成20年刊・洪水企画・残部あり)
 「タイムマシン幻想」(平成22年刊・洪水企画・残部あり)
  「インサイド・アウト」(平成23年刊・洪水企画・残部あり) 
 「ゴシップ・フェンス」(平成24年刊・洪水企画・残部あり)   
 「にげかすもきど」(平成25年刊・洪水企画・残部あり)
 「永遠の散歩者 A Permanent Stroller」
      (平成26年・洪水企画・残部あり)
 「思い出せない日の翌日」(平成27年刊・水仁舎・残部あり)
 「時間論」(Kindle 版)

 *上記の詩集に関心のある方は、お気軽に著者(南原充士)あてに
   ご連絡ください。
    お問い合わせだけでも歓迎です。
 
【既刊小説】

     
『転生』(BCCKS}(電子書籍
     
『エメラルドの海』(amazon)(電子書籍
     
『恋は影法師』(amazon)(電子書籍
     
メコンの虹』(amazon)(電子書籍
     
『白い幻想』(amazon)(電子書籍
    
『血のカルナヴァル』(amazon)(電子書籍
 
カンダハルの星』amazon)(電子書籍
 
喜望峰amazon)(電子書籍
 
*ダウンロードのほうよろしくお願いいたします。
    有料となりますが、試し読みもできるので、
    アクセスしてくださると嬉しいです。

  
*今後も、小説等を電子書籍で出版する予定ですので、
   よろしくお願いいたします。
 

              令和3年6


                  南原充士
 

シェークスピア ソネット 110

ソネット 110

 

             W. シェークスピア

 

ああ!そのとおりです。わたしはあちこちで遊んでいました

そして自分を世間の笑いものにしていました

自分の考えに角を突き刺し、大切なものを卑しめました

新しい愛情によって旧来の罪を重ねたのです、

わたしが真実さえも横目で見知らぬもののように見ていたことも

まことにそのとおりです、でも、上に述べたことにもかかわらず

こうした遊興はわたしに若い息吹を吹き込みました

同時に安っぽい他の交際はあなたが最上の恋人であることを明らかにしました、

すべての遊びが終わった今、わたしたちは永遠の関係に戻りましょう

わたしはもはや新しい経験のために情欲を研ぎ澄ませたり

なじみの友人すなわちわたしが虜となっている愛の神に

試練を与えることもありません、

ですからわたしを歓迎してください、天国への望みを別とすれば

最高の存在であるあなたよ、その純粋でこの上ない愛に満ちた胸までもどうか。

 

 

Sonnet CX

 

          W. Shakespeare

 

Alas! 'tis true, I have gone here and there,

And made my self a motley to the view,

Gored mine own thoughts, sold cheap what is most dear,

Made old offences of affections new;

Most true it is, that I have looked on truth

Askance and strangely; but, by all above,

These blenches gave my heart another youth,

And worse essays proved thee my best of love.

Now all is done, have what shall have no end:

Mine appetite I never more will grind

On newer proof, to try an older friend,

A god in love, to whom I am confined.

   Then give me welcome, next my heaven the best,

   Even to thy pure and most most loving breast.

 

シェークスピア ソネット 109

 

ソネット 109

 

                               W. シェークスピア

 

おお!わたしが不貞を働いたなどと言わないでください

あなたが不在の間わたしの愛の炎が弱まったように見えたとしても

わたしが自分自身を去ることはたやすくないでしょう

あなたの胸にあるわたしの心を去るのと同様に、

それはわたしの愛の本拠地だからです、旅するあの人のように

遊び歩いたとしてもわたしは戻ります

時間通りに、予定を変更したりはせずに

わたしの汚れをすすぐことができるように、

わたしの本性が あらゆるタイプの人々を苦しめる誘惑に

支配されているとしても、信じないでください

それがそんなにも愚かに汚れて

この上なく素晴らしいあなたを去ってつまらない人のもとへ走るなどと、

わたしの薔薇よ、あなたがいなければこの広大な宇宙も空しいものです

そこではあなたがわたしの全てなのですから。

 

 Sonnet CIX

 

             W. Shakespeare

 

O! never say that I was false of heart,

Though absence seemed my flame to qualify,

As easy might I from my self depart

As from my soul which in thy breast doth lie:

That is my home of love: if I have ranged,

Like him that travels, I return again;

Just to the time, not with the time exchanged,

So that myself bring water for my stain.

Never believe though in my nature reigned,

All frailties that besiege all kinds of blood,

That it could so preposterously be stained,

To leave for nothing all thy sum of good;

   For nothing this wide universe I call,

   Save thou, my rose, in it thou art my all.

72歳

昨日72歳になりました。 正直、複雑な心境ですね。 でもいろいろ思い煩ってもなにも解決しませんよね。 創作意欲が続く限り、詩歌、小説、評論、エッセイ、英詩和訳等を書き続けたいと思っていますのでよろしくお願いいたします。 外出自粛の折からSNS等でのお付き合いをよろしくお願いいたします。

詩「洗濯物」の英訳「Washing」

    洗濯物

 

                  南原充士

 

 強風が洗濯物を飛ばした

肌着はダリの絵のシャツように

ストッキングは下半身だけのマネキンのように

ハンカチは竿から外れた白旗のように

めいめいの形に伸びたり縮んだりしながら

あちこちへと飛んでいった

あわてて近所をさがしてみたが

どこへ行ってしまったのか

影も形もなかった

今頃は いっぱいに広がって

遠い空の上を

踊るように飛んでいるかもしれない

それらを丁寧に畳んだ手の中に

ウールや綿やナイロンの感触だけを残して

 

 

     Washing

 

                              Nambara Jushi

 

Strong wind blew off the washing,

Underwear, like the shirt in Dali’s painting,

Stockings, like a mannequin having only its lower body,

Handkerchief, like a white flag coming off the rod,

Each stretching and shrinking,

Flying to and fro.

Hurriedly I searched in my neighborhood.

But where have they gone?

I could not find anything.

Now, spreading out widely

Over the sky far from here,

They may be flying and dancing,

Leaving only their feelings of wool, cotton and nylon

In my hands folding them very carefully.

 

洗濯物

 

     洗濯物

 

強風が洗濯物を飛ばした

肌着はダリの絵のシャツように

ストッキングは下半身だけのマネキンのように

ハンカチは竿から外れた白旗のように

めいめいの形に伸びたり縮んだりしながら

あちこちへと飛んでいった

あわてて近所をさがしてみたが

どこへ行ってしまったのか

影も形もなかった

今頃は いっぱいに広がって

遠い空の上を

踊るように飛んでいるかもしれない

それらを丁寧に畳んだ手の中に

ウールや綿やナイロンの感触だけを残して

「不満」

 

    不 満

 

         南原充士

 

不満を感じ始めると増大する。

不満を言い始めるととめどなくなる。

不満は回りまわって自分に返ってくる。

不満は内部へ侵入して危害を加える。

不満はすっかり自分を乗っ取り

気が付けば

不満が自分を語らって

大威張りで往来を歩いている。