南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

新生

 

           新 生      

 

世の中は 変わってしまった われわれも 変わらなければ 生きてはいけぬ

なんという 不自由世界 なにびとも 疑心暗鬼に 遠ざけ合って

新しい 生き方に慣れ お互いを 守り合いつつ 希望見出す

ツイートは 癖になるんだ つぶやきは ぶつぶつ言えど 流れて消える

一瞬の ひらめきよりは 言の葉の 思いつくまま 並べてつなぐ

独り言 呟く我に 呆れつつ 飽きるまで言う 今日も愚かに

愛らしく なれぬものかと 自らの 顔を眺めて 思案投げ首

だれもみな 自分で思う それよりも はるかに頑固 偏屈至極

ひきこもる この危機をこそ 奇貨として 素直になろう やさしくしよう

押し寄せる 情報洪水 春もがく

霞濃し 吹き飛ばせよと 合唱す

ほとばしる 春遡り 堰を閉め

かかかかか 頑固人心 春愁う

昨日今日 春とは言えど 大違い

つぶやきは 春の朧の 寝言かと

つつじ咲く 昨日は晴れて 今日は雨

ああここは 山吹の道 誰と来た

一日を 千年と思う 日は過ぎて 明日をも知れぬ わが身を思う

いつまでも あると思えぬ この命 不信を去りて 憎悪を捨てる

押し寄せる 情報の波 溺れつつ 真偽わからず 藁をもつかむ

今日もまた 終わりつつある 目を閉じて 夢に誘う 妖精を待つ

どこまでも 続くこの道 はかなさを 知りつつついに 信ずることなし

感染の 危機にありても 罵りは 収まらずして 亀裂は深し

罵詈雑言 浴びせて生きる 遺伝子を 痛めつけるか コロナウイルス

分別も 良識もある 善人が 互いにどこまで 憎み合うのか

晴れ上がる 空の彼方に なにが住む 幸い住むと 言える時待つ

在宅に マスク手洗い 防護服 アビガン呼吸器 ワクチン開発

人類は 一網打尽 おのがじし 忍者となりて 網を抜け出す

ひととひと スキンシップを 避けつつも  電子接触 バーチャル会話