南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

危機

 

    危 機

 

            南原充士

 

外の景色を見ていると、
時空のゆらぎは見えないが、
心の揺らぎは感じる。
子供たちが遊んでいるのを見ていると、
自分の影は見えないが、
未来を感じる。
ひとりひとりの顔は見えないが、
夥しい人々がこの世界に生きていることを想像する。
どんな危機があろうと、
ひとびとは生まれ死ぬのだと痛感する。