詩の技術がなければいい詩は書けない。
ではなにを書いたらよいのか?という疑問が湧いてくるのは当然だ。
詩のテーマはなんでもよいしひとそれぞれ書きたいことを書けばよい。
喜怒哀楽のいずれの感情を主とするかとか、抒情性を強く打ち出すか
理屈っぽさを前面にだすかとか、日常茶飯事を取り上げるかもっと広い視野から世界を
とらえるかとか、生老病死をシリアスにとらえるかユーモラスに描くかとか、
恋愛をロマンティックに描くかエロティックに描くかとか、リアリズムに徹するか
フィクションを活用するかとか、ナンセンスや言葉遊びを駆使するかとか、
長い作品か短い作品かとか、さまざまな知識や経験を組み込むかどうかどうかとか、
他の作品を引用するとか、なにを書くかを考えていけば、表現技術の選択と一体化してしまうことに気が付く。
また、書きたいことが明確になってから書き始めることもあれば、書きながら作品ができあがってくる場合もある。
書き始めるきっかけや書き方はひとそれぞれかもしれない。
そうして書きあがった詩を書いた本人が読み返して出来栄えを厳しくチェックし、必要に応じて手直しをする。場合によってはしばらく寝かせておいて、折に触れて手を入れる。
やがてこれでよいと本人が納得した作品を、ブログとかネットとか合評会とか勉強会とか詩誌とか詩集に発表する機会が来る。評価はよかったり悪かったり何もなかったりするだろう。そういうことも踏まえてその後の詩作にいそしむことになるだろう。
どんな詩が読み手の心に届き、動かしたのかをしっかりと把握することは、詩のテーマと技術を総合して結実させる詩作品を進化させるうえで極めて重要なことだろうと思う。
ただ、書こうとする詩が読者の心をとらえるかどうかを気にするあまり、書くことにブレーキをかけるのは得策ではない場合が多いだろう。
なぜなら、書こうとする勢いはとても大切なのでとりあえず勢いに任せて書いてしまうこともあってよいと思う。書き上げた後で読み返して推敲を加えて修正をする余地があるからだ。
そして、ひとつ忘れてはならないのは、書いた詩をすべて発表する必要はないということだ。どんなに力を込めて書いたとしても出来上がりがよいとは限らないし、読者の共感を得られにくいと感じた場合は、発表しないでおくというのが賢明だ。
詩の客観的な評価はきわめて難しいことだ。
詩の評価をいかにするかを学ぶために有効な方法は、すぐれた詩人の詩から学ぶことだ。
たとえば、谷川俊太郎の詩をよむことで、
①どんなテーマで詩を書いているか。
➁同じテーマでも着眼点に意外性があっておもしろいのではないか。
➂要は、テーマを選ぶ際に非凡な視点を持てるかどうか?
➃さりげなくさまざな表現技術を使っているのではないか?。
➄読者を惹きつけるテーマを独自の視点から選び詩の技術を可能な限り駆使して
おもしろみのある詩に仕上げているのではないか?
その他詩の核心となることを学ぶことができると思う。