南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

詩「やり直し」

    やり直し

 

         南原充士

  

秋晴れの空を見上げていると

くよくよしていた自分をしばし忘れる

 

まぶしい光がわたしの表面を暖め

やがて内部へと沁みとおる

 

鉄塔がいくつも並んでいるのを辿ると

街のかたちが浮かんでくる

 

いつか踏んだ踏み石はどのように

今日の足元につながっているのだろうか?

 

捨ててきたものと失ってきたものが相殺されて

今からでもやり直しはきくのだろうか?