南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

『新春コロナ雑詠』(短歌系・2021.1)

 

『新春コロナ雑詠』(短歌系・2021.1)

 

 

平凡の ヘブンに近く カナブンの

ブンブンに似て ひとり賑わう

 

おまえさん ここが痛いよ いや違う

壷を押さえて ぐっと揉んでよ

 

わが生が 小説よりも 奇なりとは

思えぬままに コロナ拡大

 

いい人の 振りをするのも ひとならば

許されてある 悪の役柄

 

悪口を 言って心が 晴れるとは

言えぬ思いの 幸先の梅

 

これこそが 探していた カップだと

コーヒーミルを 軽やかにひく

 

そんなもの どこがいいのと つぶやいて

嫌われ顔で 去り行くだれか

 

退屈や 鬱屈あれば ためらわず

韓流に行く 気持ちはわかる

 

見た目より やわな神経 一言の

ダメージずしり ダメダメダメよ

 

被災地に 生まれた歌を 口ずさむ

声こだまする 成人の日に

 

今日もまた 願いは強く 熱ければ

空より来たる 閃光を見る

 

コロナなら こもりて読める キンドル

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