南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

2022年 年頭雑感

 

   2022年 年頭雑感

 

           南原充士

 

 

   箱根駅伝 往路

 

まぶしい光にも濃い影がある

山を登る足取りは確かだ

気が付けば順位が入れ替わっている

筋肉の動きを見ると心が躍る

この一瞬一瞬が冷気を切り裂く

あらゆる角度から見守る視線

様々な叫びがはるか遠くへ響く

 

   箱根駅伝 復路

 

山を駆け降りる走者たちを見ていると

幼い孫たちがやってきた

狭い空間を縦横に走り回る素早さ

久しぶりに会った子供たちの成長ぶりに驚く

あそこでもここでも俊敏な動作が際立つ

ふと猛虎の影がよぎったような気がして振り向くが

新春の光にまぶしく輝くのはまさしく人間の雄姿だ

たった今ゴールイン! 

 

   自由意志 

     

言いたいことを言えればいいと思った

伝えたいことが伝わればいいと思った

考えてみれば何を言いたいのか伝えたいのか

自分でもはっきり分ってはいなかった

無意識のままに行動していたということだ

自分の自由意志で思うままに生きているつもりでも

無数の愛憎がこんがらかって収拾などつくはずもない

 

    

 

嘴を尖らせて鋭く突っつく

血だらけになり倒れるまでやめない

勝負と言うより怨恨であり終りがない

息絶えても後から後から生まれる

永遠にどちらかだけが生き残るゲームは続く

なんという愚かなことだと呟く暇もない

宇宙の構造の真相を明らかにできるはずもなく

ただただぼろぼろぼろぼろぼろぼろ…

 

   いやしけよごと

 

身構える冬

拍子抜けする日射し

三が日が過ぎ

今年が姿を見せ始める

振り返ればいつもこの繰り返し

マンネリ化するようで

禍福は不意にやってくる

悲喜こもごもが

ひとを翻弄するのは

変わらぬ世の習いなのだろう

願わくば いや重け吉事