南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

大石聡美第七小説集『婚約』

大石聡美第七小説集『婚約』。34歳、バツイチの私と一つ年下の青年、間宮とのいかにもありそうな交際の流れと自然で生き生きとした会話が読ませる。あっけなく婚約に至るのももったいぶったところがなくていい。「元夫シリーズ」を書くのがライフ・ワーク…

シェークスピア ソネット 132

ソネット 132 W. シェークスピア あなたの目をわたしは愛しています、それらはわたしを憐み あなたの心が蔑みによってわたしを傷つけることに気づいており 黒い色で装う愛情深い弔問客であり わたしの痛みを哀れむやさしい目を注いでくれるのです、 そして実…

『うろこアンソロジー合本 2014-2020』

『うろこアンソロジー合本2014-2020』。WEB上の灰皿町の清水鱗造町長が毎年年末に町民からの詩を募ってまとめていたものを7年分まとめて紙の本として出版した。最近清水氏は詩や小説や評論を精力的に発表し書籍化している。わたしも灰皿町民の一人…

小島きみ子詩集『楽園のふたり』

小島きみ子詩集『楽園のふたり』。生死を直視する強靭な精神力と神話や古事記や聖書や哲学書や詩や音楽などの幅広い教養が、現実世界における出会いと別れの諸相を、様々な詩の形として生み出す。恰も巫女が此の世と黄泉の国の媒介をするかのように言葉の霊…

ヤリタミサコ詩集『月の声』

ヤリタミサコ詩集『月の声』。空想奇談とも言うべき語り口のおもしろさと人生経験の深さを踏まえたアフォリズムが、古い橋や月や不思議なカメラをめぐって卓越した詩の世界を生み出している。「住む」の発想もユニークだ。「橋」はすぐれた英訳も付されてい…