南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

価値観の共存共栄に向けて(価値観の研究=その50)

価値観についていろいろ思いつくことを述べてきたら、もう50回めの記事ということになった。 これまでは、かなり基本的なことを、抽象的に、体系的に述べてきたつもりである。 ところどころに具体例を挿入したが、どちらかというと論理の展開に重点を置い…

無意識(価値観の研究=その49)

価値観を考察するとき、忘れがちなのは、意識と無意識の関係である。 なにごとも覚めた眼で観察し、判断していると思いたいが、現実はそうはいかない。 幼児時代の環境によって、味覚や生活様式や価値判断など、かなりの範囲にわたって、個人の価値観は影響…

正義(価値観の研究=その48)

価値観の体系および要素についてはすでに述べた。 ただ、個人の価値観と社会の価値観にはちがいがある。 社会道徳などは個人の道徳観を拘束する。 正義もまた個人の正義感と社会的正義は異なりうる。 正義は、絶対的なものではない。 社会科学が価値観の科学…

善意と悪意(価値観の研究=その47)

価値観の競合はいたるところに見られる。 価値観が生き物だというとらえ方についてはすでに述べた。 では、価値観はどのように優劣が決まるのか?あるいは強弱が? 正当性とか論理性とか宣伝能力とか? 価値観の競争ということを分析するとき、ひとつ注意す…

科学と価値観(価値観の研究=その46)

これまで、科学と科学以外のことがきちんと区別できることを前提に話をしてきた。 しかし、ほんとうに科学と非科学を峻別することは可能なのだろうか? 科学的とか客観的とかいうと、きわめて論理的・実証的で疑問の余地がないようにも思える。 実際にそうだ…

誤解(価値観の研究=その45)

価値観を持った同士が接するとき、おたがいの言葉や行動をどう理解し受け止めるか?は重要だ。 真剣に伝えようとする場合でも、100%真意が伝わることはありえない。 よく伝達ゲームというのがあるが、ひとりのメンバーが一枚の紙に書いてある内容を暗記…

失言(価値観の研究=その44)

価値観をめぐっては複雑な要素がからまりあい、また変化していくものであることを述べてきた。ここで、ちょっと横道にはいって、意思疎通の精度について触れておきたい。 ひとがある価値観に基づいて発言し行動するときに、すべてを自覚し、正確にコントロー…

歴史(価値観の研究=その43)

価値観には、個人レベルの価値観、グループや地域社会や会社の価値観、国家の価値観など、階層があることは前に述べた。 では、時間的な経過によって価値観はどのように変化してゆくだろう? 価値観は人間と同様に生まれ、育ち、死ぬ。「価値観の一生」とで…

国家(その2)(価値観の研究=その42)

国家と国家の関係は団体間の関係であり、主権と主権の関係なので、とてもむずかしい。 まず考えなくてはいけないのは、既述のとおり、利害が基本だということだ。 国益が根底にあって、美辞麗句もあり、飴とむちもある。平和や平等や共存共栄の目標もある。…

キャラメルボックス公演「カレッジ・オブ・ザ・ウィンド」

本日、池袋のサンシャイン劇場で催された演劇集団キャラメルボックスの公演「カレッジ・オブ・ザ・ウィンド」を見た。 ストーリーは、奇抜である。 くわしいことは、これから見る方もいるので、さしひかえたいが、家族愛を描くために、あえて、死者を何人も…

河原泰則・コントラバス

一昨日、浜離宮朝日ホールで開かれた、河原泰則のコントラバスのコンサートに行った。 河原は、一橋大学と桐朋学園大学の両方を卒業してから、ドイツのベルリン大学に留学。 コントラバス奏者として認められ、1980年以降、ケルン放送交響楽団首席コント…

国家(価値観の研究=その41)

とりあえず、団体までの価値観のありようについて考えてきたので、次に、価値観の典型的な表れとして、「国家」というものを考えてみたい。 「国家とはなにか」ということについては、それに関する専門の教科書を参照していただきたい。 ここでは、そういう…

人間関係=その13(グループ)(価値観の研究=その40)

前回は、二人の人間関係と三人の人間関係の違いについて述べた。それでは、4人、5人、6人・・・と人数がふえていくと人間関係はどのように変化するのだろうか? 友人だけの場合、職場での場合、地域の場合、他人が混じる場合、パーティーの場合、ボランテ…

金田一京助

金田一京助著「日本語の変遷」(講談社学術文庫)を興味深く読んだ。 この著作自体は戦中戦後にかけて著されたものだが、今日なお示唆に富む内容となっていると感じた。 日本語の変遷と語学的な特徴を分析したものだ。 まず、日本語を、第一期 上代日本語=…

人間関係=その12(三角関係)(価値観の研究=その39)

人間関係も1対1の関係ならわかりやすい。 だが、現実は多くの人間が存在して、複雑な力学が作用する。 そこで、とりあえず。三角関係をとりあげてみよう! ぼくの友人にAとBとがいるとする。 AとBがけんかをして、絶交し、当面仲直りの見通しが立たない…

人間関係=その11(人格形成)(価値観の研究=その38)

一人の人間が、ある価値観をもとに発言し行動する。 すると、他人からの反応なり見方がありうるはずである。 ある集団のなかでのある人物の評価というものがある。 その「人物評価」はどのようになされるのだろう? ある程度の時間の経過とそのあいだになさ…

人間関係=その10(全体と部分)(価値観の研究=その37)

人間関係には距離感がたいせつだと述べた。 では、人間同士は、どのようにかかわりあうのだろうか? わかりやすい例を引こう。 夫婦の場合だ。しかも、相思相愛の夫婦の場合だ。 精神的にも肉体的にも完全に一体化していると感じあう。 こころもからだも素直…