南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

春の空

春の空 口喧嘩 決裂までは 行かぬ春 言う言わぬ 齟齬の寒さも 春遠し 好きだよと 言ったことなし 春まだき ガムランの 夢に鳴るのか 時は春 どうしても おれは消せない 春の火事 そろそろと ドルチェの似合う 春近し 本当は 言えないことの 春クレド たいせ…

吉田隶平詩集『青い海を見た』

吉田隶平詩集『青い海を見た』。人生の終わりを意識しながらも紡ぎ出される言葉はおだやかだ。静かに自分の人生を振り返りさまざまな出会いや出来事を思い出す。「何かをしなくてはいけないか//森の木が/陽の光を浴び/風にそよぐように//ただいるだけ…

良くも悪くも

良くも悪くも良くも悪くも 自分は自分。愚かでも 弱くても 貧しくても それ以上でもそれ以下でもない。ぼんやり考え込んでいるうちにすっかり日は暮れて鏡に映るのは白髪しわだらけの老人だ。「時間を大切に!」と若者によびかけ自分は自分の日々を生きるた…

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冬と春のスパイラル

冬と春のスパイラル 酔い覚めの 唯我独卑か 春の夢 世捨て人 眠る孤底の 水ぬるむ 夢先の 湖底に眠る 春の魚 飛び出して 名のみの春に すくむ足 冬の海 魚人となりて ひれを打つ 嘘ばかり 尽誠を吹く 春一番 化石似の アンコウ鍋に 時忘れ 疑似涙 仮病しりご…

自分

自分 見えないのか 見ようとしないのか 最も近くて遠いもの 鏡は嘘つきで 写真は意地悪 ビデオは要注意 似顔絵は裏切者 自分を失いたくなければ 五割増しぐらいでいい 他人は五割引きなんだから