南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

シェークスピア ソネット 98

ソネット 98 W.シェークスピア 色とりどりの4月が飾り立てた衣裳に身を包み あらゆるものに若さのエッセンスを吹き込む春の間 わたしはあなたのいない時間を過ごしてきた 暗鬱なサトゥルヌスさえ4月には笑って跳び跳ねたのだった、 小鳥の歌声も 様々な香…

詩「散歩」

散 歩 南原充士 晴れの恵み 夕刻の軽い散歩 気分転換 自分なりのリズム 平凡すぎる一日が無事終わることの非凡 すれ違うひとは老若男女すべてマスクをしている どことなく離れようとする心理 人と人との磁力は逆転してしまったか? 至近距離で接しているのは…

シェークスピア ソネット 97

ソネット 97 W.シェークスピア あなたと離れていた期間は、過ぎ去る年の愉悦を失い わたしにとってあたかも冬のような時期だった なんとも凍えるような寒さを味わい、暗い日々を過ごし いたるところに年の暮れ12月の荒涼とした景色を見たことであろうか! …

人影

人 影 南原充士 ちょっと元気のないひと それはあなただ ふきげんな自分をもてあますあなただ なぜこんなに気持ちが滅入るのか おおよそは感じているが はっきりそれだとはいいにくい こんな自分は本当の自分ではない ふと聞こえる小鳥の声に心惹かれるあな…

シェークスピア ソネット 96

ソネット 96 W.シェークスピア あなたの短所は若さだと言う者も、放蕩だと言う者もいる あなたの長所は若さと気品のある遊びだと言う者もいる 多かれ少なかれ長所も短所も愛される あなたは短所もまた自らの長所に変えてしまう、 王座に就いた女王の指には…

オプティミスト(57577系短詩)

オプティミスト(57577系短詩) 南原充士 空間の 脱ぎ替わりこそ 時間なら 巨大な皮を 剥ぎ取る鋏 いつのまに いらつくひとは だれだろう 鏡を見れば 見知らぬ顔よ わけもなく 大声を出し おどろいて 気まずくなれば 居場所に困る いくたびも 痛切に知…

「詩の評価」

自分なりに考え抜いて詩のテーマを見出し、それをとらえる自分なりの視点も見つけて、これ以上ないと思われる技巧を凝らして一篇の詩を書き上げ、さらに何度も推敲を重ねて完成したと思える詩について、どのような評価が得られるかは気になるところである。 …

詩のテーマ

詩の技術がなければいい詩は書けない。 ではなにを書いたらよいのか?という疑問が湧いてくるのは当然だ。 詩のテーマはなんでもよいしひとそれぞれ書きたいことを書けばよい。 喜怒哀楽のいずれの感情を主とするかとか、抒情性を強く打ち出すか 理屈っぽさ…

詩の技術

詩は言葉の技術の極致と言えるが、その技術の高さは一読しただけでは読み取りにくい。特に谷川俊太郎のようにわかりやすい詩を読むとそこに高度な言語技術が駆使されていることに気づきにくい。 詩の技術の核心は比喩である。なぜ比喩かと言えば、詩は身体と…

シェークスピア ソネット 95

ソネット 95 W. シェークスピア あなたは不名誉さえそんなにも甘く愛らしいものに変えてしまう!不名誉は香しいバラにとりつく病弊のように世に知られつつあるあなたの名声を損なうものなのだがおお、あなたはどんな甘味の中にあなたの罪を封じ込めようとす…

『達磨』(57577系短詩)

達 磨 南原充士 巣篭りて みんな自分に 向き合えば 告白気味の つぶやき増える そのへんに 光が射すを 喜びて このへんにいる 日陰のだれか 羨みも 妬みもあれど 吹き払い 達磨となりて 端然と座す こころには いやしき邪気の 住まいいて うらやみねたみ 嫉…

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『南原充士の電子書籍小説』の御紹介 1.BCCKS SF小説『転生』。宇宙飛行士の主人公が不時着したアレー星での主人公コータとアレー星人とのやりとりが目玉です。短編ですからすぐ読めますよ! bccks.jp 2.Amazon (Kindle版) ①小説『エメラルドの海』は…