南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

「詩の評価」

 自分なりに考え抜いて詩のテーマを見出し、それをとらえる自分なりの視点も見つけて、これ以上ないと思われる技巧を凝らして一篇の詩を書き上げ、さらに何度も推敲を重ねて完成したと思える詩について、どのような評価が得られるかは気になるところである。

 詩はなかなか客観的な評価をするのが難しい。そこで読者ごとのかなり主観的な評価がなされる。いいか悪いか決定的な材料はない。いいと言ってくれる読者が多いかどうかとか、どういう点がよいかを指摘してくれたかとか、逆にあまりいいと思わなかったとか、どんな点に問題や不満を感じたかとかの指摘があったとかを自分なりに受け止めるほかないのである。

  ある程度信頼度の高い評価としては、詩誌の投稿欄ですぐれた選者に読まれる機会や詩集の各種の賞に応募してすぐれた選考委員による審査を受ける機会などがあるだろう。

  また、詩の仲間との合評会とか、詩の教室での感想とか、詩誌や詩集を送ったことに対する相手からの感想なども参考になる。

  いろいろな評価を真摯に受け止めそれをどのように受け入れたり受け入れなかったりするのは書き手のみが主体的に決定すべきものだ。

  小説でもあるいは音楽や美術でも芸術分野については似たような状況にあるだろう。

 それらの評価は概してどこかもやもやしてあいまいな感じが払拭できないのではないだろうか?

  ひとつのアイデアとしては、評価基準を作成して読者がそれぞれに点数をつけてみることである。フィギュアスケートでは芸術点と技術点がつけられるが、詩に同じ手法を当てはめるのは難しいだろう。ただ、たとえば、以下の10項目について各項目10点満点(全体で100点満点)で点数を付けて合計点数を出してみたら面白くはないだろうか?

 

 1.詩のテーマや視点に独自性があるか?

 2.詩のテーマと文体とがマッチしているか?

 3.詩の長さが適当か?

 4.詩の展開が巧みか(起承転結とか)?

 5.詩の言葉に過不足がないか?

 6.詩の比喩は巧みか?

 7.詩の中に何らかの意外性があるか?

 8.詩が感動を与える度合いは高いか?

 9.詩の特色が生かされているか(抒情、叙事、ロマンティシズム、ユーモア、ホラー、ナンセンス、言葉遊び、日常、幻想、個人、社会、死生観、宇宙その他)

10.詩としての表現技術が全体としてすぐれているか?

 

 ある詩について、読者によってつける点数に差があるだろうから、その違いをもとにいろいろ議論を交わす材料を与えることにもなるだろう。

  詩の評価については意外と未開な部分も多いと思われるので、新たな評価手法が提案されると詩の進歩にも役立つと思うのだが・・・。