南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『シェークスピア ソネット集』、完訳!

『シェークスピア ソネット集』(154篇)、五年の歳月をかけてようやく翻訳が終わりました。いろいろな意味で風変わりな詩篇が収められています。シェークスピアに興味のある方は是非読んでみて下さい!https://nambara14.exblog.jp/i47/

シェークスピア ソネット 154

ソネット 154 W.シェークスピア 年若い愛の神は 心に火を付ける松明をかたわらにおいたまま 眠りに落ちていた そこへ清らかに生きることを誓った多くの妖精たちが 通りかかった、その中の最も美しい妖精が 多くの者の純粋な心を熱くしてきた火を その手で拾…

シェークスピア ソネット 153

ソネット 153 W.シェークスピア キューピッドが松明をそばに置いて眠っていた、 女神ディアナの侍女はこの機会を見逃さなかった そして恋心に火をつける炎がすばやく その地の冷たい谷の泉に突入した、 この泉は 聖なる愛の炎から 古来より強烈だった熱を取…

シェークスピア ソネット 152

ソネット 152 W.シェークスピア あなたを愛する中でわたしが偽りの誓いをしたことをあなたは知っている だがあなたもわたしに愛を誓いながら二度もそれを破ったのだ 愛の行為の中でベッドでの誓いは破られ新たな制約も反故にされた 新たな愛が生まれた後に新…

高橋馨詩集『蔓とイグアナ』

高橋馨詩集『蔓とイグアナ』。第一部は、詩と写真の組み合わせ、第二部は、自由線画集、第三部はエッセイ『私のダロウェー夫人』。幅広い芸術への造詣や豊富な人生経験を踏まえた、鋭い社会洞察や風刺やエスプリやユーモアが、著者の自由で闊達な精神のあり…

シェークスピア ソネット 151

ソネット 151 W.シェークスピア キューピッドは幼いので良心がどんなものか知りません とは言え良心が愛から生まれることを知らない者などいるでしょうか? だからやさしいいじめっ子よ、わたしの欠点を責めないでほしいのです わたしの過ちはあなたのせいだ…

雛祭り

雛祭り 受動態 緩慢誘う 春霞 無に帰して 春の愁いを 葬りぬ 飴と鞭 桃の節句を 忘れまじ ひな人形 姿の見えぬ スナイパー 桃色の 影鮮やかに 尖る口 暖かな 春の日差しの 陰深し もうすこし 春に甘えて 無為夢想 目を閉じて 開いてみれば 春は来ぬ 赦されて…