南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

2008-01-01から1年間の記事一覧

異なった価値観は常に存在し続ける(価Ⅱ=40)

【異なる価値観は常に存在する】(価値観の研究第二部 その40) 1.ことし(西暦2008年、平成二十年)の世界経済は、アメリカの金融危機に端を発して、全世界を巻き込む史上稀な不景気に突入した。 幸い、過去の大恐慌やバブル経済の破綻という経験を…

麻生内閣支持率低下

マスコミ報道によれば、麻生内閣の支持率が20%程度に急落しているらしい。 この非常時に困ったものだ。 100年に一回の経済危機を乗り切るためには、関係者が一致協力することがたいせつだと思う。 国際的な協調がとられて、さまざまな対策が講じられ、…

「ベートーヴェンの後期のソナタとリストの小品たち」(山本百合子)

『ベートーヴェン後期のソナタとリストの小品たち』(山本百合子。朝日カルチャーセンター。平成20年11月22日)(感想) 山本百合子というピアニストははじめてだったが、とても誠実で真剣で研究熱心なところに好感を持った。 かんたんなレクチャーと…

「越落の園」の構成について

読者各位 このブログもだんだん記事がふえてきたので、お読みくださる方も戸惑いを感じられるかもしれないので、簡単にブログの構成について説明しておきたいと思います。 1.「価値観の研究第一部」(50篇)、「価値観の研究第二部」(50篇)及び「価値…

麻生太郎総理の評判

麻生太郎(敬称略)が総理大臣になって間もなく二ヶ月である。 まだ、二ヶ月しかたっていないので、評価をするのは早計に過ぎるかも知れないが、ひとつ気がかりな点があるので、書いておきたい。 それは、国会答弁や記者会見など公式の場で漢字の読み間違い…

南紫音 ヴァイオリン・コンサート(2008年11月15日 紀尾井ホール)

【 南紫音 ヴァイオリン・コンサート(2008年11月15日 紀尾井ホール)を聴いて 】 昨夕、南 紫音(みなみ・しおん)のヴァイオリン・コンサートを聴いた。 1989年北九州市生まれというから、まだ19歳。将来が楽しみな若手ヴァイオリニストであ…

田母神、前航空幕僚長の発言について(価Ⅱ=39)

『 田母神、前空幕長問題について 』 最近、マスコミ等で大きく取り上げられ、話題となっている田母神前航空幕僚長の発言については、さまざまな意見が示されている。 小生も「価値観の研究」の立場から、かんたんにコメントしておきたい。 「政府見解」と「…

「指田 一展」を見て(感想)

「指田 一展」(2008.11.3-11.8、於 東京銀座 ギャラリーGK)を見て 指田 一(敬称略)が制作したオブジェは、詩誌「SPACE」の表紙で何度も見たことがあった。 今回、指田 一から、個展への案内のはがきをもらったので、本日(最終日)…

「大琳派展」を見て

「大琳派展」-継承と変奏―(2008年10月7日~11月16日、東京国立博物館)を見て(感想) 1.はじめに 「大琳派展」は、尾形光琳生誕350年を記念した展覧会だそうだ。 第1章 本阿弥光悦・俵屋宗達 第2章 尾形光琳・尾形乾山 第3章 光琳意匠と光琳顕彰 第4…

小句集「秋思」

小句集 『秋 思』 (学園の秋) 太鼓打つ 紅葉学園 応援団 秋晴れに ソプラノもあり 野球場 木隠れの 小鳥チチュチチャ 秋はずれ コスモスの 耳を聾して 車行く つかの間の 静けさありて 思う秋 (言海) 小春日に しおり挟みし 大言海 秋ひとつ 思いはふた…

小歌集「秋風に寄す」

小歌集 『 秋風に寄す 』 (オレンジの縁) つらいなど 口にはしない シルエット 光り射す手に オレンジの縁 たいへんな 一日だけど 心して ぬくもり拾い 眠りの園へ 泣き喚く みずからの胸 見据えれば 絶海の島 おぼろに浮かぶ (通い路) 秋風の 心静かに 吹…

南原充士詩集「花開くGENE」刊行のお知らせ

私事ながら、小生の詩集刊行のお知らせです。 今月一日付けで、「洪水企画」(代表:池田康氏)から、「花開くGENE」というタイトルの詩集を出しました。 「はなひらくジーン」と読みます。 ジーンとは、英語で「遺伝子」のことです。 33篇の詩を収めていま…

アメリカ金融危機に際して(補論)(価Ⅱ=38)

価値観の研究第二部 アメリカ金融危機に際して(補論)(価Ⅱ=38) 1. アメリカ金融危機に対しては、各国が協調の上、最大限の努力をしているようだが、現実は、なかなか厳しく、日本の状況を見ても、円高、株安、輸出減少といったマイナスの事態が収ま…

アンスネス ピアノ・リサイタル

【アンスネス ピアノ・リサイタル (平成20年10月27日東京オペラシティ)】 1970年ノルウェー生まれの、レイフ・オヴェ・アンスネスは、日本でもその実力が高く評価されていると思う。昨日の、ピアノ・リサイタルも、盛況で、万雷の拍手に応えて、アンコ…

歴史的な観点から見たアメリカの金融危機の評価(価Ⅱ=37)

【 価値観の研究第二部 歴史的な観点から見たアメリカの金融危機(価Ⅱ=37)】 今回のアメリカの金融危機についての各国政府の対応や国際的な対応については、別途記したところであるが(なんでも評論のカテゴリー参照)、これまでの経緯を、「価値観の研…

特別展「源氏物語の1000年ーあこがれの王朝ロマンー」を見て

【特別展「源氏物語の1000年-あこがれの王朝ロマン―」(横浜美術館。平成20年8月30日―11月3日】 今年が源氏物語1000年紀にあたるということで、開催された特別展。 「紫式部日記」には、当時、源氏物語が広く読まれているという記述があり、それがちょうど1…

アメリカの金融危機=その3

さて、新聞やテレビの論調もかなり出されたので、とりあえずの状況整理をしたい。 1.まず対策としては (1)アメリカ独自の対策・・・金融安定化法による不良債権の買い上げがメイン その他、公的資金による資本注入、個人預金保護、 金利の引き下げ、貸…

ペーター・レーゼル べートーヴェン ピアノソナタ演奏会

『ペーター・レーゼル ベートーヴェン ピアノソナタ演奏会』 1.平成20年9月20日、紀尾井ホールで、ペーター・レーゼルのピアノリサイタルを聴いた。 ベートーヴェンのピアノソナタ全曲演奏会の第一回目。 20番、17番(テンペスト)、29番(ハン…

アメリカの金融危機=その2

日本人が三人もノーベル物理学賞を受賞したのは快挙であり、明るいニュースだ。素粒子論についての日本人の研究は世界をリードしているということだろう。湯川、朝永氏をはじめとする偉大な先人の伝統を引き継いでいるのだろう。 最近の金融不安のなかで、す…

アメリカの金融危機=その1

サブプライムローンに端を発する金融不安は、リーマンブラザーズという巨大証券会社の破綻によって象徴され、その他の巨大銀行、巨大保険会社の破綻が追い討ちをかけたのは周知のとおりである。 金融先進国アメリカでのかくも巨額の金融破たんは、まさに青天…

小句集『夏から秋へ』

小句集『夏から秋へ』 (お取り寄せ) 奪い合う 秋の新作 在庫無し 寝静まる 家屋露わに 稲光る 廃屋は すすきに隠れ 人の声 (現 物) 極小の ドラムを叩く 虫の声 極大の 夢幻広げる 秋の空 現物の あるがまんまの 秋の影 (ガラクタ) ガラクタも 光を浴…

小歌集『ぱぱいやままん』

小歌集「ぱぱいやままん」 (疼痛) 隠れ家の 戸口破られ 隙間風 見えない刃傷 疼痛と化す 藪からの イレクトファラス 如意棒に 戸惑い吠える 昼下がりの犬 (涙の海) 血と涙 海水と化し 肉と骨 土と変わりて 命生む床 (わけもなく) わけもなく 泣き続け…

小歌集『光る秋』

小歌集『光る秋』 (ひかり) 限りある いのちは光 目の中に 動きの先に 涙とともに 逝きてなお こころに灯る 光あり ぬばたまの闇 照らすいのちの ただひとり 別れも告げず 去るひとの 背中は透けて 声も届かず (とらわれびと) 危うさの 何かに気づく 今…

人物の評価=その4(価Ⅱ=36)

評価の対象となる人物の生きた時代や地位や影響力などによって、評価手法も異なりうるわけだが、評価の主体がだれかということも重要な要素である。 たとえば、会社の入社試験で人物を評価するのは採用にかかわる役員や社員である。そこでは、おそらくだれを…

人物の評価=その3(価Ⅱ=35)

人物の評価の難しさは、前述のように、情報の制約や評価の主観性という制約によるものであるが、それは結局は、評者による同一人物評価の多様性につながる。 たとえば、入社試験の面接の場合、役員、部長、課長、担当者などの間で評価は別れうるだろう。 社…

人物の評価=その2(価Ⅱ=34)

人物の評価ということの重要性のわりには、その評価法が学問的に確立していないことがひとつの問題だと前回指摘したところであるが、試みに、自分の経験からどのような点に留意したらよいかどうかというケーススタディからはじめてみたい。 人物評伝としては…

人物の評価(価Ⅱ=33)

人物の評価はきわめてむずかしい。 人物にもいろいろある。 ① 身近な人物。家族。友人。知人。親戚。同級生。同僚。隣近所。基本的には顔見知り。 ② テレビや新聞では知っているが、会ったことはない人物。 ③ 同時代人だが、直接の接点はない人物。 ④ 過去の…

福田康夫総理大臣のこと

安倍晋三前総理のあとを受けてリリーフピッチャーのような役割を果たしてきた福田総理が突然辞意を表明したことに対しては、概ね、「投げ出し」たことへの責任を追及する意見が多かったと思われる。 安倍前総理に続いての「政権投げ出し」に呆れたとか情けな…

【宣伝です!】=南原充士【文学のデパート】《詩歌篇》=『きままな詩歌の森』

先日、親しい詩友と話をしていて驚いたのは、小生のブログを知らないということだった。 宣伝しておかないとだれも読んでくれないことに気がついたので、たまにはPRしたいと思います。 こちらもどうぞよろしく! 詩と俳句と短歌をたっぷり載せていますよ!…

歴史的なアプローチにおける戦争責任論など(価Ⅱ=32)

『歴史的なアプローチにおける戦争責任論など》 前に、歴史的なアプローチのなかで、法的なアプローチがとりあえず重要だと述べたが、さまざまな判断や行為のうち適法なものについては一応法的責任は追及されないとして、違法だと判断される場合には、その責…