南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

アメリカの金融危機=その2

 日本人が三人もノーベル物理学賞を受賞したのは快挙であり、明るいニュースだ。素粒子論についての日本人の研究は世界をリードしているということだろう。湯川、朝永氏をはじめとする偉大な先人の伝統を引き継いでいるのだろう。

 最近の金融不安のなかで、すこしでも日本人が自信をもって研究を続け、成果を諸分野に生かせればいいと切に願いたい。

 ところで、今朝の読売新聞によれば、「IMFの発表によると、アメリカのサブプライムローンによる、世界の金融機関の損失は、試算値で、最大約1兆4000億ドル(約140兆円)で、4月時点での試算値9450億ドル(約95兆円)に比べて約1.5倍に増えたそうだ。

 アメリカの金融安定化法による不良債権の買取、個人預金の保護、さらには主要中央銀行によるドル資金供給(総額6200億ドル)などに加えて、日本政府は、日本の経験に基づき金融機関に対する公的資金による資本の注入を提案するようである。

 これらに見て取れる金額は、それぞれ、100兆円内外のオーダーだと見ることができる。

 いろいろ加えても、最大、総額、数百兆円ということだろう。

 これは、前回も述べたが、世界のGDP総額の数千兆円というオーダーから見れば10%以下にあたる。

 各国の経済財政事情によって、協力の程度はばらつきがあるだろうが、とにかく、今は、世界中が協力協調して、この危機を脱することが喫緊の課題である。

 なお、今朝の朝日新聞によれば、金融危機が与える最悪のシナリオとして、

   『 金融不安→株価の急落→消費者心理の冷え込み→消費の減少→輸出の減少→企業収益の悪化

   →株価の更なる低下→金融機関の貸し渋り→雇用縮小→所得の減少→景気の更なる悪化・・・』

   というような流れを示している。(一部修正)

  要するに、金融不安が解消されなければ、多くの企業は倒産し、いたるところに失業者があふれ、消費は低迷し、国民は生活に困り、国全体・世界全体が深刻な不景気に陥るということだ。

 そうならないためには、とにかく金融危機を乗り切り、経済活動がなんとか円滑に継続される必要がある。さまざまな対策をパッケージでやったとしても、効果はじわじわとしか現れない。じっと辛抱の時期を続けて少なくとも2,3年は我慢をしなければならないと思われる。それから次第に景気が回復することが可能だと見込まれる。日本の過去の経験に照らしてもそうだ。

 この際、アメリカの尻拭いをなんで日本がやらなければならないなどと言わずに、日本のためにも、世界のためにも、みんなで協力して金融危機を乗り切るべきではないだろうか?