南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『オミクロンの秋』

『オミクロンの秋』(2022年9月) わりなくも 口喧嘩する 秋の精 信じれば 裏切られても 秋まかせ 掌を 返したのちは 秋に聞け 台風の 余波に濡れつつ どこへ行く 敬老を 忘るるほどに 何をする 放浪を 心に秘めて 秋と和す ずっとずっと あるもののよ…

野間明子詩集『襤褸』

野間明子詩集『襤褸』。現実と空想、自問自答、生死等アンビバレントな感覚、突き詰める意識、高度な表現技巧から生まれる詩篇は、ある種メタフィジカルな世界に入り込む。例えば、「深紅や純白の花も覚めれば襤褸、明日花になるわたし」の色彩や音色や身体…

八重洋一郎詩集『転変・全方位クライシス』

八重洋一郎詩集『転変・全方位クライシス』。広範な知識と経験と膨大な語彙を駆使して今世界が置かれた危機的状況を強烈なインパクトを持った詩篇として描き出し警鐘を鳴らし告発している。沖縄の現状、琉球の歴史、ムンク、カフカ、デカルト、ジョイス、狂…

シェークスピア ソネット 143

ソネット 143 W. シェークスピア ほら、家事にいそしむ主婦は 逃げ出した家禽類を捕まえようと走り出します 赤ん坊を床に置き、捕まえたいと思う家禽類を追いかけて 全速力で走ります、 放置された子供は 彼女の後を追いかけ 泣きながら彼女を捕まえようとし…