南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「カルテット第7号」山田兼士小詩集「疾中情景詩篇」

「カルテット第7号」。山田兼士小詩集「疾中情景詩篇」。突然の病で入院。退院して回復するまでの経験と思いが切々と語られる。重大な出来事を辛抱強いリハビリで克服する過程は他人事とは思えない切迫感とリアリティがある。「未知の 未明の 未踏の どこか…

アマンダ・ゴーマン

アマンダ・ゴーマンのこと 大統領就任式での、アマンダ・ゴーマンの詩「私たちが登る丘」の英文と訳文を読んでみた。 22歳とは思えない詩の高度なレトリックが駆使されている。比喩・象徴、強調、押韻、対比、反語、問いかけ、引用(聖書)、呼びかけ、メッ…

アマンダ・ゴーマンの詩「私たちが登る丘」

バイデン大統領の就任式で詩を読んで話題になったアマンダ・ゴーマン。22歳の才能豊かな詩人。ハーヴァード大学で社会学を専攻する学生。奴隷の子孫でシングルマザーに育てられ将来は大統領になることを夢みる少女というは、アマンダ自身のことを言ってい…

シェークスピア ソネット 108

ソネット 108 W. シェークスピア 頭の中にはインクで記され得るどんなものがあるのだろう? それはわたしの本当の心をあなたに示すことができていないのだが わたしの愛あるいはあなたの優れた美点を表す 新しい言葉や今記録すべきことがあるのだろうか? な…

豊原清明詩集『白い夏の死』

豊原清明詩集『白い夏の死』。キリスト教への信仰も生きることのさまざまな試練や虚無や怒りや病や罪の意識を解放することはない。日常の出来事に翻弄される自分自身を持て余しながらも現実を冷徹に観察して見えてきた社会の猥雑さや不可思議さを真率に書き…

シェークスピア ソネット 107

ソネット 107 W.シェークスピア わたし自身の恐れも 未来を予言する 広い世間の預言者の魂も わたしの真実の恋の期間を左右することはできず 冷酷な運命によって没収されるということであろう、 滅びる月は欠けることに耐えてきたのだし 占星術師は哀れにも…

『慣習法と制定法』

『慣習法と制定法』 1.日本法は大陸法の流れが強く制定法主体であるが、英米法は慣習法主体である。 今でもその流れは残っている。 そこで、日米で契約を締結するときには、注意を要する。 たとえば、日本では片務契約と双務契約があるとされるが、英米法…

『新春コロナ雑詠』(短歌系・2021.1)

『新春コロナ雑詠』(短歌系・2021.1) 平凡の ヘブンに近く カナブンの ブンブンに似て ひとり賑わう おまえさん ここが痛いよ いや違う 壷を押さえて ぐっと揉んでよ わが生が 小説よりも 奇なりとは 思えぬままに コロナ拡大 いい人の 振りをするのも ひと…

春野たんぽぽ詩集『赤い表札』

春野たんぽぽ詩集『赤い表札』。第一部赤い表札では故郷を舞台に少女時代の思い出が正直に語られる。第二部環状線では大阪に出てきてからの経験が故郷との対比の下に描かれる。詩は次第に現実にフィクションが加わり立体性とユーモアが魅力を強める。独自の…

南原充士のプロフィール(2021年)

南原充士(なんばら・じゅうし)のプロフィール 2021年6月現在 1949(昭和24)年2月7日生、茨城県日立市出身 1972(昭和47)年3月 東京大学法学部卒 日本詩人クラブ会員 本名 桑原 薫(くわばら・かおる) 詩、小説、575系短詩、57577系短詩…

小説『喜望峰』の感想

小説『喜望峰』を読んだ感想を、下記のように寄せてくれた方がいます。 このような言葉は実にありがたく励みになります。皆様も是非宜しくお願いいたします! 「小説は楽しく読ませていただきました。白金の採掘という ロマンあふれるビジネスが興味深かった…

2021年 丑年

2021年 丑年 目覚めると あふれる光が 新しい年を知らせる 沖を行く老朽船の 針路を示す計器盤 電波は見えない 年を越せなかった命が 凍らせる背筋 生者は黙々と歩き出す どんなことがあっても 乗り越えていこう もぐもぐと草を食む牛の群れ

明けましておめでとうございます!2021年

I wish you a happy new year! 2021 謹賀新年 令和3年! みなさまのご健勝とご活躍をお祈りいたします。 今年もよろしくお願いいたします。 コロナの終息を祈りつつ リモートでのお付き合いを大切にしたいと思います。