南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

『慣習法と制定法』

 

     『慣習法と制定法』

 

1.日本法は大陸法の流れが強く制定法主体であるが、英米法は慣習法主体である。

今でもその流れは残っている。

そこで、日米で契約を締結するときには、注意を要する。

たとえば、日本では片務契約と双務契約があるとされるが、英米法では双務契約が原則である。

あるいは、コモン・ローと衡平法の歴史的意味合い等が挙げられる。

 

2.近年は英米でも制定法が増えてきたとはいえ、今日でもなお慣習法すなわち前例を重視するという考え方は根強く残っているようだ。裁判でも前例つまり判例が重視される。前例がないときには衡平原理が援用される。金銭賠償で足りない場合差し止め処分を命ずるというようなのが典型的である。

 

3.legalとequitableという用語も要注意だ。

legalは一般的に「法的」という意味と、「衡平法(equity)」に対して「コモン・ロー(慣習法)上」のという意味を持つので、いずれの場合かを見定める必要があるからである。

なお、equitableは「衡平法上の」という意味である。

たとえば、equitable relief(衡平法上の救済)には「差止命令」等がある。

 

4.ちなみに、Equityには色々な意味があり訳しにくい単語の一つである。

 

①公平

➁株式

自己資本

➃不動産

⑤衡平法

  等