南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

「英詩の勉強会」

        『英詩の勉強会』に参加して


 平成26年11月8日自由が丘で開催された、『英詩の勉強会』に参加した。講師はヤリタミサコさんと南川優子さん。おふたりともよく勉強されていてきわめて刺激的で内容の濃いレクチャーだった。 
 ヤリタさんは、メキシコ系アメリカ人のサンドラ・シスネロスの作品を紹介。女性が腋毛を剃ることが求められるメキシコの慣習を巧みにとらえた詩や白人男性をさそりに喩えた詩など、人種問題や社会慣習といったシリアスなテーマをユーモラスに描いた詩を、英語の原詩とヤリタさんの和訳で紹介してくれた。
 南川さんは、英国の詩人を紹介。シニカルな中産階級の白人のブログといったスタイルの詩を書くデイヴィッド・ヴァンコーター、方言や階級による言葉の違いを自分の経験をもとに風刺した詩を書くトニー・ハリソン、スコットランド人の母とナイジェリア人の父との間に生まれ、人種問題や言語問題に悩む詩を書くジャッキー・ケイなどの詩を、パソコンを使って(CDにより)詩人自身の朗読を交えながら、かつ、英語の原詩と南川さんによる和訳によって紹介してくれた。
 ヤリタさんと南川さんの「英詩の勉強会」は、英米における詩人と詩の最新の状況を、現場から紹介してくれる貴重な機会だと思う。できればもっと多くの方が参加されればよかったのに、というのが正直な感想である。