南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

文学ならなんでもやりたい

はじめは詩を書いた。それから小説を書こうと思ったが、かんたんに書けなかった。30歳ぐらいで習作みたいなものは書いたが、自分なりに意識してなんとか小説らしきものが書きあがったのは50歳ぐらいの時だった。

小説『エメラルドの海』は、短編小説ながら、実に10年余を費やして完成した。

同じころから短歌や俳句(のようなもの)も手掛けるようになった。ただ、伝統的な形式に疑問を持っていたので、古語や旧仮名遣いは可能な限り避け、季語にもこだわらず、切れ字も原則使用しないという自分なりの方針を貫いてきている。

最近、詩の翻訳も試みており、ディラン・トマスの十数篇の詩やシェ-クスピアのソネット集など英詩の和訳にも挑戦している。

また、書評やエッセイや評論も折に触れて書き続けてきており、とりわけ論考『価値観の研究』(1~3部)は人間が生きるということを原点に返って問い直してみたものであり、できれば継続したいと思っている。

日本文学は、細分化している状況にあると思うが、自分的にはもっと文学全体をとらえる視点が必要だと感じている。総合文学者とか文学のデパートといった呼称もそういうところから生まれてきたものだ。

人間や社会について分析的にかつ総合的にとらえようとする文学者がいてほしいが、見回したところあまり見当たらないようなので、それなら言い出しっぺの自分が隗より始めよということで文学ならなんでもやるという方向性を実践してみようと思って、ここ数年ほど前からそれなりにやり続けているつもりだ。

是非文学愛好者の方々のご理解とご支援をお願いしたい。