南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧

シェークスピア ソネット 72

ソネット 72 W.シェークスピア おお!あなたが愛するようなどんな美点がわたしにあったのかと人々があなたに説明するように迫らなければいいのだが、わたしの死後は、愛する人よ、わたしをすっかり忘れてしまってほしい、あなたはわたしが価値あるものを持…

予防接種

インフルの 予防接種は したものの 節々痛む 高熱来たる いくたびも 体温測り そのたびに 一喜一憂 悪寒と眩暈 栄養と 休養に努め もう少し 速い快癒を 望みつついる

自分の考え

自分ほど 物の分かった 者はない そういう同士で 世間は回る 違うのは 当たり前だが 殺すほど 憎み合うのは 考えものだ 批判のみ 胸のすくほど 投げつけて 傲然と立つ 鏡の中に

遺伝子

悲しみを 分け合うべきと 心して 慈愛と慰安 捧げしものを 最愛の ひとを亡くして 乱心は 日々号泣し 互いに責める これもまた むごい定めか 耐えきれぬ わりなき心 身に収まれず

インフルエンザ

節々の 痛みに割れる 骨の髄 脳天の 裂けて飛び散る 蜃気楼 情欲も 忘れて眠る ウイルス禍

修理

さまざまな 工具携え かじかむ手 電動で また穴開けて 寒からむ 年の瀬の 修理となれば ほめ殺し

ベートーヴェンのピアノソナタのタイトル

ベートーベンのピアノソナタ32曲に惹かれて 全曲に名前を付けようと思って十年以上聴いていますが、 いまだに付けることができないでいます。 もちろんすでに名前の付いている「悲愴」「月光」「熱情」などはそれでいいと思いますが。 聴けば聴くほど深く…

ピアノソナタ

32曲 かく心惹く 沁みてくる 生存の 微塵に届く ピアノ曲 涅槃図を 音符で描きし ルードヴィッヒ 振り返る 時の涙を 誘う音 悲し身を ふるわせて聴く 年の暮れ

クリスマス

暖色の イルミネーション 街行けば 信者ならねど 心躍りき

マナー

年越しの マナー違反を もう一年 年忘れ あるはずのない すっぽかし 督促状 待ちくたびれた 枯れ野原

畏怖

心ほど わからぬものと 凍る池 目をそらす 訳わからねば 今は冬 息白し 嫌いの文字を 書いて消す

解脱

目覚ましの 止まったままの 厳寒期 遠隔か 浮遊か虚無か わが師走 どこまでも 逃げ出していく 暮れの足

冬至

バスタブに 浮かべてかじる 香り玉

去私

命ある ものを遠ざく 短昼日

内的な敵

厭人の 意識芽生えて 唆す 内部の我こそ 最大の敵

帝釈天

柴又で 生まれ育つも 寅さんの 映画見ざりし 訳などあらず

本当に 

本当に 悲しいことは 語らない 描かず歌わず ただ思うのみ

LED

LED 何の正義の 証明か グリーン知らずで 飛び恥をかく

70点

修理屋は 矢鱈穴あけ ねじ込んで なんとかすれば 合格点とか

文学のデパート

「文学なら何でもやる」がモットーだ。 もともとは詩からスタートし、小説も手掛け、短歌(のようなもの)や俳句(のようなもの)にも手を出すようになった。さらに、ディラン・トマスの詩やシェークスピアのソネットなど英詩の翻訳にも挑戦しはじめた。その…

忘年会

隠れ家の ごとき厩に 満席の オス嘶きて 年は暮れ行く

ファイル損壊

破損した ファイル回復 できずして 密林彷徨い 猿人咆哮す

シェークスピア ソネット 71

ソネット 71 W.シェークスピア わたしが死んだとしても わたしを悼むのは忌まわしい虫けらと住まうためにわたしが憂き世を去ったことを重苦しく虚ろな鐘の音が世間に知らせるのをあなたが耳にするまででいい、もしあなたがこのくだりを読んだとしてもそれ…

やり方

WORDには 機能満載 マニュアルに 戸惑いながら キーボード打つ

看取り

若い手に すがりて生きる 高齢者 懇談会は 看取りがテーマ

創作

罵って にらみ合っても 憎めない 心の奥に 信愛あれば

夫婦喧嘩

何気ない 言葉重罪 取返し 効かぬ厳罰 後悔遅し

沈黙

なにげない ドラマのシーン 胸を突き 涙ぐみしを 書き記すまじ

鼻炎

永遠に 止まらぬくしゃみ 鼻水か 箱のティッシュも 屑籠に山

別れ

悲しみを 分け合うはずの 諍いを 別れる今は 信愛に変え