南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

追悼 志村けん

追悼 志村けん 失って 知るは世の常 コメディアン笑いの芸に 泣き笑いする 引きこもる 閉鎖の時の 只中に笑わせるひと 去るは悲しき いつの世も ホラーエログロ ナンセンス危機の時こそ 笑っていたい 無表情 不安不信が 蔓延す笑わせてくれ 笑わせてやれ し…

花は咲く

花は咲く 57577系短詩 絶望の 淵にあれども 花は咲く一人歩みて 花の香を嗅ぐ 錯乱の 街はゴースト 我が家にて手料理食し 今を安らぐ パンデミの 見えぬ災禍に 襲われど 焼きたてのパン ちぎる手洗う 咳飛沫 マイクロ飛沫 遮断する防護ウェアに 毒ガス…

南原充士の詩と小説

外出自粛の折から、私の小説と詩集をよろしくお願いいたします。 電子書籍は一作につき300円余りでダウンロードできますのでどうぞお気軽にアクセスしてくだされば幸いです。 https://bccks.jp/user/135493 https://www.amazon.co.jp/-/e/B00UBG2BMI

殲滅

微細なものへと傾く心の磁針は揺れ動き これまでに記録されてきた波形は心に収まり切れていない とりわけ巨視的に水平線を追いかけたにじんだ視線を切り替えて 顕微鏡的な焦点を合わせ得るようにしたとき 新たな地平に現れた蜃気楼のごとき揺らめきを 素面で…

シェークスピアのレトリック

シェークスピアはレトリックの神様というイメージが強いが、 ソネット83を読むと、意外なことに、当世はやりの飾り立てた技巧や美辞麗句に 批判的で心の底から発せられる真実の言葉こそ詩であると言っているのは面白い。 おそらく当時のライバル詩人たちは…

シェークスピア ソネット 83

ソネット 83 W.シェークスピア わたしの見る限りあなたが粧をする必要があったことは決してなかったのであなたの美しさに粧が施されることはなかった負託を受けた詩人が発する粗雑な言葉をあなたの美しさが凌駕していたことをわたしは気づいていた、あるい…

桜咲く 道をたどれば 桃園に 桃か桜か 八重の花咲く 梅散って 桜も散って つつじ散る あじさい散って 花は散り継ぐ コブシ咲く 丘に登れば 遥かなる 富士の姿を 晴れ晴れと見る コロナには 勝てぬ算段 界隈の 道をたどれば 桃の花咲く 引き続く 凶事に打たれ…

楽観

悲観的 茫然自失 自暴自棄 剣が峰なら 打っ棄ってやる 世の中は 絶望のみの 博覧会 反転させよ 希望の星へ はかなさの 跳梁跋扈を 蹴倒して 楽天主義の 仮面をかぶれ

痛み

突然の 痛み激しく 術もなく 横たわりては 収まるを待つ かのような 痛みの記憶 蘇り 息苦しくて 眠れぬ責め苦 つかのまの 沈静あれば 診察の 医師の手先を すくいとぞ見る

それでも自分は

生きるとは 無間地獄に 投げ出され 魑魅魍魎に 肝冷やす日々 どこまでも 自らとして 生きていく 納得できぬ 役であろうと かまびすし 人あるところ いつの世も それでも我は わが道を行く

シェークスピア ソネット 82

ソネット 82 W.シェークスピア あなたがわたしの詩と契りを結んだのではなかったことそしてそれゆえにあなたがなんの咎めを受けることなしに詩人たちが麗しい対象に捧げた言葉をためつ、すがめつしてそれらの詩集をすべて祝福することをわたしは認める、あ…

乱調

突然の 乱調来たり 戸惑えば 悪夢跋扈し 悪寒取りつく

パンデミック

1918の スペイン風邪の 我が国の 死者は38万 世界で4000万人 2002の SARSの感染は 32か国・地域 8千人 死者は世界で700人余 いかにして パンデミックは 収まるか 猛威を奮う ウイルスに勝ち 未知ならば 手探りの処置 積み重ね 祈りのう…

3.11

地は揺れて 首押さえられ 沖よりは 怒涛押し寄せ 逃げる間もなく 災いの 博覧会か 世の中は 昨日も今日も 明日も涙の 予測だに できぬウイルス 人類は 瘴癘跋扈の 沼に沈むか 嘆く間に 人は去り行き われもまた 幻と化す 瀬戸際の今 人類の すべての英知を …

マーサ・ナカムラ詩集『雨を呼ぶ灯台』。

なんという想像力と創造力の持ち主だろう。 巧みな語り口に感心している間に現代の中に隠れている異界へと誘い込まれてしまう。 怖いもの見たさをくすぐられる。 家族や近所や学校や電車などありふれた日常がちょっとしたきっかけで異常な光景や暴力や狂気や…

抽選

籤運がいいと言う人がいる。 たしかに宝くじに当たったり商品を手に入れたりマンションに入居できたりした実績のあるひとは籤運がいいと言うことを否定することはむずかしいだろう。 しかし、確率論から言えば特定のひとに有利な条件はないので、たまたまい…

武西良和詩集『鍬の錆』

武西良和詩集『鍬に錆』。季節ごとの畑の情景の変化と畑を耕す中で観察した鳥や昆虫や木や草花の生態がたしかな筆致でスケッチされている。強い意志と様々な困難を克服しようとする姿勢の中にほの見える心の揺れと喜怒哀楽が等身大の一人の人間としての生き…

続・インプラント

よくよく考えればインプラントのことをよく調べもせずに治療を受けることにしてしまったのだった。 インターネットの発達をわすれていたかのような失策だったかもしれない。 治療を受け始めてから慌ててネットでいろいろ調べてみると驚くようなことがあれこ…

インプラント

年とともに歯が失われていく。なんとも歯がゆいがどうしようもない。歯医者通いも欠かさず歯ブラシも丁寧にやってきたにもかかわらず虫歯、歯槽膿漏が進行して、延長ブリッジが外れてやむを得ずインプラントにすることに決断した。 インプラントは歯科医師に…

フィクション

時代小説は面白い。それだけ史実とフィクションの融合には力がある。作家の取材・調査能力と想像力の豊かさがあれば、驚くべき小説世界が出現する。読者は圧倒的な流れの速さに巻き込まれれば逃げようがない。 翻って自分の小説を見てみると、リアリティのな…

シェークスピア ソネット 81

ソネット 81 W.シェークスピア さもなければわたしは永らえてあなたの墓碑銘を記すだろうあるいはわたしが土の中で腐る時あなたは生き続けるだろうそれゆえ死さえもあなたの記憶を奪い去ることはできないわたしのあらゆる部位が忘れられてしまうにしても、…

安倍首相についてのコメント

どこの国の首相や大統領も称賛されることは少なく多くは批判にさらされるようだ。それにしても、SNS などを見ると、安倍首相についてここまで言うか!と思われる書き込みが目立つので驚く。長期政権を維持しているということは、支持者が多いと言うことの…