南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

フィクション

時代小説は面白い。それだけ史実とフィクションの融合には力がある。作家の取材・調査能力と想像力の豊かさがあれば、驚くべき小説世界が出現する。読者は圧倒的な流れの速さに巻き込まれれば逃げようがない。

 

翻って自分の小説を見てみると、リアリティのないことには抵抗があるらしいと感じる。時代小説というより純文学と呼んだ方がよい小説の書き方をしている。幻想文学やSFにも魅力は感じるのだが、自分のこだわりはリアリズムとロマンティシズムにあると思う。くそリアリズムは避けたいが、科学的にありえない物語は語りたくない。嘘はつきたくない。歴史を調べてもわからないことを勝手に想像力で作り上げたくはない。史実は貴重なので、できるだけ史実を尊重したい。ということで、自分は時代小説には向いていないと感じている。

それでも時代小説の迫力には参考にすべきものがあると思うので、可能な範囲でそれらの技法を学びたいと思っている。わたしの小説は基本的には現代小説を目指しているので、フィクションが史実を作り替えたり必要以上に補完することはしないようにしている。いずれにしても小説は面白いのが一番ですから、読者が面白かったと言ってくれるような小説を書くことを目指して頑張っていきたいと思うので、よろしくお願いしたい。