南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

人間関係=その9(嘘も方便)(価値観の研究=その36)

前回、人間関係におけるコミュニケーションの重要性について話したが、コミュニケーションは常に真実が語られるとは限らない、「作戦上、嘘をつく」とか、「都合の悪いことは言わない」とか、「おたがいの平和のためにあえてうそをつく」とか、「うそによっ…

人間関係=その8(コミュニケーション)(価値観の研究=その35)

前回、相性が悪いと思った相手からは、可能な限り距離をとるべきことを述べたが、しかし、人間の相互理解は相性のわるい相手であっても、断念すべきではない。白黒のレッテルをはりすぎるのは、(価値観の異なる人間の共存というのが最優先の目的なので、)…

人間関係=その7(相性)(価値観の研究=その34)

人間関係共通に、「相性」というものがある。 はたして、科学的に解明しきれているかどうかはわからないが、「相性」を軽視すると痛い目に会う。 だれにもそういう苦い経験があると思う。 英語では、ケミストリー=化学という言葉によって、人間関係の相性の…

人間関係=その6(地域社会)(価値観の研究=その33)

人間関係のひとつの重要な要素が、地域における人間関係だ。 向こう三軒両隣とか、隣はなにをするひとぞとか、相隣関係とか、遠い親戚より近くの他人とか、隣の芝生とか、隣組とか、村八分とか、町内会とか、近所づきあいとかにまつわる言葉が多いのを見ても…

岡田喜代子詩集「午前3時のりんご」

岡田喜代子詩集「午前3時のりんご」(花神社刊)にとてもいい詩があったので、紹介したい。 ぼくが北関東出身なので、「北関東」というタイトルに感じやすかったせいもあるかもしれない。 しかし、言葉をこねくりまわすことなく、たしかなタッチでたしかな…

人間関係=その5(劇団の場合)(価値観の研究=その32)

ちょっとケーススタディをひとつ。 昨日、ある著名な劇団のプロデューサーと話す機会があった。 まだ、30代の若くてかっこいい青年だった。 ぼくは、「どのような俳優が有望なのですか?」と聞くと、 彼は、「演技力があるというのは当然必要な条件ですが…

ギドン・クレーメル

昨夜、東京オペラシティで開催されたギドンクレーメルのコンサートに行った。 生で聴くのは3度目だと思う。 ぼくがいま一番好きなバイオリニストだ。 千変万化の音色におどろく。 超絶技巧に驚く。 少々の不協和音など気にしない。 骨太の演奏。 それでいて…

人間関係=その4(学校)(価値観の研究=その31)

今回は、人間関係のうち、学校での人間関係をとりあげたい。 いじめや非行化や校内暴力が問題にされる学校。 まず、保育園。仕事をもつ両親にとってはたいせつ。安心して預けられる施設が望まれる。保母さんの資質も重要。幼児はそこでしつけられる。 無認可…

人間関係=その3(家庭)(価値観の研究=その30)

人間関係の基本は、親子であり、家庭だろう。 だれも、「生まれる」のであって、選択権はない。芥川の「河童」 とはちがうのである。 気がつけば「この世にいた」のだ。 幼児体験はどう見ても人格形成に大きな影響を与える。 きちんとした親がいてきちんとし…

人間関係=その2(職場)(価値観の研究=その29)

人間関係にはいろいろある。前回は{恋愛関係」をとりあげた。 今回は、職場での人間関係をとりあげたい。 国や地方公共団体と公益法人と営利企業では人間関係がかなり異なる。 公益を目的にする組織では、人事評価は、売り上げや利益への貢献度というような…

人間関係=その1(恋愛関係)(価値観の研究=その28)

人間の数だけ「価値観」があるわけだから、現実には、価値観は人間関係の中に現れてくる。 したがって、次のステップは人間関係、さらには社会関係、職場関係、国際関係などさまざまな関係をどうとらえたらいいかということが重要なテーマになる。 まず人間…

憲法改正問題(続)(価値観の研究=その27)

きょうの朝日新聞の朝刊に心理学者岸田秀氏が、安倍内閣の憲法改正について、論評している記事がある。 その論旨は、次のとおり。 「日本の歴史を、{外的自己}と{内的自己}との葛藤、交代、妥協などの歴史ととらえる。 外的自己は、外国を崇拝する自己。 内…

憲法改正問題(価値観の研究=その26)

わが国にとっていま最も重要で難しい問題のひとつが憲法改正問題であることは異論がないだろう。 賛否両論がある。無関心なひともいるかもしれない。 賛成派の論拠は、「敗戦直後ならともかく、戦後60数年経った今日、独立国として、自国の防衛を自国の軍隊…

言葉と行動(価値観の研究=その25)

昨日のイベントでの谷川俊太郎の発言に、「言葉は現実のほんの一部しか表現できない。言葉は不完全なものだ。現実は複雑で矛盾に満ちたものだ。言葉より行動を重視すべきだ。」という趣旨のことがあった。 昔から「不言実行」とか「有言実行」とか「言行不一…

同性愛者の問題(価値観の研究=その24)

アメリカの軍隊の話し。 アメリカにはけっこう同性愛者が多いらしい。 米軍では、The "don't ask、don't tell" policy(「聞かない、話さない」政策)というのがあって、 うやむやにするこどによって、同性愛者でも軍人として勤務できるようにしている。 と…

谷川俊太郎「詩を読み、語る」(聞き手*小池昌代)

きょう、「立教大学文学部100周年記念行事」のひとつとして、同大学タッカーホールで開催された、「谷川俊太郎『詩を読み、語る』」というイベントに行った。聞き手は、同大文学科文芸・思想専修特任教授、小池昌代(敬称略)だった。 大きなホールには、…

小池昌代の小説

小池昌代は、今ぼくが一番興味を持っている女性詩人だ。 現実をよく観察して、大胆にして細心の言葉遣いをする。すぐれた詩人だ。 最近、小説でも大きな賞を受賞して脚光を浴びている。 そのうち、「裁縫師」という短編を読んだ。 いま64歳の掃除のおばさん…

屠殺場めぐり

たまたま本屋で見かけた本。ある女性のイラストルポライターの著書。 世界何カ国かの屠殺場レポートだ。イラスト入りでリアルに屠殺場のようすや、解体のプロセスが描かれている。牛や馬や豚など。食肉としてはなじんでいても、屠場にはなじみがない。 人間…

利害関係(価値観の研究=その23)

人間が「言うこと」と「行うこと」の間に食い違いが生じる一番大きな理由は、利害関係だろう。 いま、ドイツのハイリゲンダムでサミットが開催されているが、「各国首脳の発言をどう受け止めたらいいか?」を考えるときには、国益が基本にあると思ってよい。…

科学的な解釈は可能か?(価値観の研究ーその22)

これまで、「価値観」についていろいろ述べてきたが、なぜそんなことをくどくど書いているかというと、「自分」をできるだけ正確に知りたいからだ。 だれしも、自分の与えられた環境に、意識するしないにかかわらず、制約をうけている。 なぜ、自分はこのよ…

香水

先日、あるハーブ園に行った。バラやラベンダーやセージやペパーミントやスペアミントなどいろいろな花やハーブが植えてあり、陳列されてあって、見ごたえ十分だった。 その一角に、香水の歴史を解説したコーナーがあった。香水の材料や製法、香水ビンの移り…

野党の役割(価値観の研究=その21)

年金法案が衆議院の本会議で強行採決されたニュースがテレビや新聞のトップニュースとなっている。 与野党の対立。議場でもみあう与野党の議員たち。怒号がとびかう。 これを見ると、なんだか与野党は戦争をしているように見えるかもしれない。 しかし、今の…