南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

人間関係=その2(職場)(価値観の研究=その29)

 人間関係にはいろいろある。前回は{恋愛関係」をとりあげた。

 今回は、職場での人間関係をとりあげたい。

 国や地方公共団体公益法人営利企業では人間関係がかなり異なる。

 公益を目的にする組織では、人事評価は、売り上げや利益への貢献度というような客観的な評価指標はない。

 政策立案能力、交渉力、リーダーシップ、協調性、行動力、説明能力などによって、制度をきちんと維持し、自分の組織の権限や予算、職員数、組織力の拡大に貢献した者が評価される。もちろん、上司への印象付けもたいせつかもしれない。

 営利企業では、もうけに貢献することが手っ取り早い。文句を言うひとが出にくいからだ。

 社内では、上司、同期、後輩、部門間の関係者とのじょうずな連携が求められる。

 対外的には、取引先の開発、取引先の維持拡大、企画力、プレゼンテーション能力、もうかる仕事の獲得などが求めらる。

 なんといっても、利益の追求が最優先。国民全体のために貢献する、などと考える余裕はなかなかない。

 自営業や個人事業者以外は、勤務先での仕事や地位、収入がすべてだ。やりがいのある仕事と十分な収入。それが両立できたら理想だ。

 社長やトップの地位に就けば、考えるべきことや行動するべきことが、一般の社員とは自ずから異なってくる。結局、組織人は、組織の目的にそったかたちで行動すことが求められる。

 個人は、組織の中で、なにを求めるかを自覚し、立身出世、高収入、仕事のやりがい、などのなにを優先したいかを明確に意識していかに振舞うべきかを決めるべきだろう。

 結果的に成功するかどうかはわからない。ただ、目的意識を持つか持たないかで先行きに差が出てくることは容易に想像できる。

 大学や研究所などは教育や研究機関として、存在理由があるので、そういう観点からの評価が優先するだろう。経営的な要素もあるが、自分がそこでどういう地位にあり今後どんな地位を目指しうるかをきちんと踏まえておくことはムダではない。研究部門でいい結果を出すか?それとも、事務局のなかで生きていくか、など。


 繰り返すが、組織の中での人間関係は、基本的には、組織の存在理由にそってどれだけ成果を出せるかどうか、成果を上げたらそれをどうアピールするかが重要だ。その際、自分が正しいと思ったことは勇気を持って主張し、説得に努めるが、うまくいかないときは辛抱して次の機会をうかがうことが賢明だろう。上司には敬意を表し、同僚にはできるだけ、にこやかに接し、マナーをたいせつにすることも大切だと思う。

 自分でできるだけのことをして、あとは人事権を持つものの判断待ちということだろう。

 基本的には、人間関係は重要だが、成功や栄達には、運任せという部分もけっこう大きいかもしれない。