南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

シェークスピア ソネット 113

ソネット 113 W. シェークスピア わたしがあなたのもとを去ってからはわたしの眼は心にあります わたしが出かける時にわたしを支配するものが その機能を放棄して部分的な盲目となっています 見えているように見えても、実際にはよく見えていないのです、 な…

シェークスピア ソネット 112

ソネット 112 W. シェークスピア あなたの愛と憐みが わたしの額に刻印された低俗な噂の傷跡を癒すのです わたしを良いとか悪いとか言う声があっても気にしません あなたがわたしの悪を覆ってくれ良さを認めてくれるからです、 あなたはわたしのすべてです …

南原充士 未完詩集のご紹介

いままでいろいろな詩を書いてきましたが、さまざまな事情で詩集として発行することなく自分の手元で眠っている詩篇がいくつかあります。 それらの詩篇の中には、すでにどこかに発表したけれども詩集としては出版していないものとまったくどこにも発表したこ…

『春暖』(575系)(2021.3)

『春暖』(575系) (2021.3) 春暖の すこし狂わす 身と心 近景と 遠景ありて 春朧 春雷を 風神雷神 叩く撥 春雷に 人事を乱す 内の神 珍しく 背中の張るは 春の乱 漏れ来るは 春の日差しか 戸惑いか 自らの 中のひとへと 春よ来い 寝返りを 打つ…

『春朧』(57577系)

『春 朧』(2021.3)(57577系) 詫びるごと 遣る瀬無き世に 長らえて そっと巻き上ぐ 鎧戸の陰 狭量を 捨ててくつろぐ 素浪人 この世にあれば 花の香を嗅ぐ 頑固者 互いに睨み 軽蔑し 蛇蝎の如く 嫌い合う仲 悲しみは 倍になるとも 喜びは 倍々にな…

シェークスピア ソネット 111

ソネット 111 W.シェークスピア おお!わたしのためにあなたは運命の女神をたしなめてくれませんか? わたしを悪行に走らせた罪深い女神を 女神がわたしの生涯に与えたものは 俗世間の流儀で稼ぐ俗世間の実入りでしかなかったのでした、 それゆえわたしの名…

南原充士の略歴

南原充士 なんばら・じゅうし 男 昭和24年(1949)2月7日 茨城県常陸太田市で生まれ 日立市で育つ。 昭和47年東京大学法学部卒。 団塊の世代。 入学に際して熾烈な大学紛争を経験。 価値観の違いについて深く考える契機となる。昭和47年以降、行…