南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

人間関係=その5(劇団の場合)(価値観の研究=その32)

 ちょっとケーススタディをひとつ。

昨日、ある著名な劇団のプロデューサーと話す機会があった。
まだ、30代の若くてかっこいい青年だった。

ぼくは、「どのような俳優が有望なのですか?」と聞くと、
彼は、「演技力があるというのは当然必要な条件ですが、人間として基本的なことが
できているひとが伸びますね。」と答えた。
ぼく、「具体的にはどういうことですか?」
彼、「きちんとあいさつができるとか、話ができるとかです。」
ぼく、「えっ、そんなことがたいせつなのですか?」
彼、「そうです。プロデューサーや演出家とコミュニケーションがきちんととれないひとは絶対に評価されません。使ってもらえませんね。」
ぼく、「それは意外です。でも、あいさつやマナーがたいせつな要素だと聞いて安心しましたよ!最近の日本人の中には、あいさつがきちんとできないひとがふえているような気がするし、マナーの悪い人も多いような気がするので。」

ざっと以上のようなことだった。

劇団というと、なんとなく、マナーよりも、美貌やスタイルやかっこよさや演技力が優先されるのかと思いきや、あいさつやコミュニケーション能力が大切な評価要素だと聞いて、ほんとうにうれしくなった。

彼によると、新人の採用の際や、配役の決定の際も、そういうチェックをして選んでいるのだそうだ。
30人ほど俳優がいるらしいが、今年の新人の採用は、たったひとりだけだったという。オーディションには3~400人の志望者がきたそうだから大変な倍率だったわけだ。。

そういう話を聞いて、彼のようなプロデューサーがいる劇団の公演なら是非見に行ってみたいと思った。

その劇団の名は?

「演劇集団『キャラメルボックス』」である。