南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

同性愛者の問題(価値観の研究=その24)

 アメリカの軍隊の話し。

 アメリカにはけっこう同性愛者が多いらしい。

 米軍では、The "don't ask、don't tell" policy(「聞かない、話さない」政策)というのがあって、

うやむやにするこどによって、同性愛者でも軍人として勤務できるようにしている。

 ところが、最近、ある軍人が同性愛者であることを公表したところ、軍当局から解雇されたというのだ。それを軍関係者向けの新聞がとりあげたところ、メディアでの論争の火種となったそうだ。

 その後、軍当局から軍人あてに、待機命令が届いたそうだが、任期を全うするためにという説明がなされたそうだ。

 1993年にこの政策が実施されて以来、ペンタゴン国防総省)は、約12,000人の軍人を解雇してきたという。

 最近、この問題は、大統領選の争点のひとつにもなっているそうだ。

 性にかかわる事柄は、タブー化しやすい。けれども、人間にとって、根源的な問題だ。正面から同性愛者を認めよという意見もあるだろう。イラクをはじめ多くの紛争地に軍隊を派遣しているアメリカにとっては、深刻な問題だ。

 「あいまいさ」がひとつの選択であることもある好例といえよう。

 「あいまいさ」もときには「価値観」の重要な構成要素になるということだろう。