南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

屠殺場めぐり

 たまたま本屋で見かけた本。ある女性のイラストルポライターの著書。
世界何カ国かの屠殺場レポートだ。イラスト入りでリアルに屠殺場のようすや、解体のプロセスが描かれている。牛や馬や豚など。食肉としてはなじんでいても、屠場にはなじみがない。

 人間も手術をされたり、解剖されたりするわけだから、無縁ではないが、食うための解体作業となると話は別だ。

 イスラム教国でのと殺、モンゴルでのと殺、アメリカ、ヨーロッパ、日本、その他の国々でやり方も大きく異なるだろう。

 肉食へのタブーもあるし。

 リアリズムを尊重する立場からは、興味をそそられるテーマだが、気味の悪いという面も否定できないだろう。

 それにしても、と殺の現場に行って取材し、観察し、図解した著者の執念みたいなものには感心した。ぼくにはそれだけのレポートを仕上げるエネルギーはない。

 自分が興味があることについて自分以上の情熱を注いでかかわり、掘り下げる人がいることはありがたい。