南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

シェークスピア ソネット 82

 

ソネット 82

 

     W.シェークスピア

 

あなたがわたしの詩と契りを結んだのではなかったこと
そしてそれゆえにあなたがなんの咎めを受けることなしに
詩人たちが麗しい対象に捧げた言葉をためつ、すがめつして
それらの詩集をすべて祝福することをわたしは認める、
あなたは容貌だけでなく教養もまた兼ね備えており
あなたの価値がわたしの称賛を上回っていることに気づいている、
それゆえあなたは時とともに進化するより新しい表現法を
求めることを余儀なくされている、
愛しい人よ、そのようにするがいい、だがそれらの詩人たちは
レトリックの与える無理な言い回しを弄しているのであり
真実を述べるあなたの友による真の率直な言葉によってこそ
あなたの真の美しさが表され、真の共感を招くのだ、
そしてあの詩人たちの粗雑な描法は血色を必要とする頬にはふさわしくても
あなたにはふさわしくない。

 

Sonnet LXXXII

 

        W. Shakespeare

 

I grant thou wert not married to my Muse,
And therefore mayst without attaint o'erlook
The dedicated words which writers use
Of their fair subject, blessing every book.
Thou art as fair in knowledge as in hue,
Finding thy worth a limit past my praise;
And therefore art enforced to seek anew
Some fresher stamp of the time-bettering days.
And do so, love; yet when they have devised,
What strained touches rhetoric can lend,
Thou truly fair, wert truly sympathized
In true plain words, by thy true-telling friend;
And their gross painting might be better used
Where cheeks need blood; in thee it is abused.