南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

続・インプラント

よくよく考えればインプラントのことをよく調べもせずに治療を受けることにしてしまったのだった。

インターネットの発達をわすれていたかのような失策だったかもしれない。

治療を受け始めてから慌ててネットでいろいろ調べてみると驚くようなことがあれこれ書いてある。

治療法のこと、インプラントの構造と材質のこと、治療に要する費用のこと、治療に要する期間のこと、メンテナンスの方法、注意事項など詳しい情報が書いてあるではないか!

あらためて事前によく調べておくべきだったと思うが、どうやら選択肢はあまりないようだ。

入歯かインプラントかといった選択肢で、入れ歯は安価だが噛み心地よくない、インプラントは面倒な治療内容と高額な費用のかわりに噛み心地がよいというメリット・デメリットがある。

予想外に費用がかさんでしまうのは困ったが、やりはじめてしまった以上は終わるまで辛抱するしかない。

思うに、医療費で最も高いのは歯の治療だ。まともな治療を望めば保険が利かない。年老いて収入が少なくなった高齢者は入歯の選択を余儀なくされるだろう。

自分もまた収入の乏しい高齢者なので入歯にしようかとも考えたが、食べる楽しみにこだわった挙句、無謀にもなけなしの貯金をはたいてのインプラント治療に突進してしまった。今後の生活資金の見通しは立たなくなって茫然自失と言った状態に陥っている。

ともあれ、治療が順調に行って、インプラントが今後も長持ちして、余計な費用がかからないことを祈るばかりだ。