南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

小歌集『ぱぱいやままん』

 小歌集「ぱぱいやままん」


 
  
   (疼痛)


隠れ家の 戸口破られ 隙間風  見えない刃傷 疼痛と化す

藪からの イレクトファラス 如意棒に 戸惑い吠える 昼下がりの犬


  (涙の海)


血と涙 海水と化し 肉と骨 土と変わりて 命生む床 

 
 (わけもなく)


わけもなく 泣き続けてる 窓際に 月を見ながら 背中をさする

 
 (恋の終り)


撫子の 花に思いし 山道の 恋の終りは 淡く散りゆく

終わり行く 恋に引き継ぐ 恋もなく 秋は窓辺に 風を吹き寄す

取り直す 思いの先に 秋日射す 後姿に 心乱れる

   
   (深呼吸)


深呼吸 くりかえすたび 秋風の 想いの色は さやぐ葉に染む


   (熱い血)


熱い血も 冷め際を抜け 霊性の ゴリラとなって 檻をさまよう

   
   (ぱぱいやままん)


とこしえの 誓いも愛も  消えてゆく 不思議ちゃんりん  ぱぱいやままん

       *