南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

国家(その2)(価値観の研究=その42)

 国家と国家の関係は団体間の関係であり、主権と主権の関係なので、とてもむずかしい。
 まず考えなくてはいけないのは、既述のとおり、利害が基本だということだ。
 国益が根底にあって、美辞麗句もあり、飴とむちもある。平和や平等や共存共栄の目標もある。では、正義はどこにあるのか?自由博愛平等平和不可侵とかいうもっともらしい人類共通の願いを正義だととらえたいのは大多数の人間にとって共通しているだろう。
 だが、歴史を冷静に振り返れば、隷属侮辱差別戦争侵略がないまぜになっていることは否めない。現実は、正邪・善悪・好悪・美醜・といった正反対の要素がくりかえしあるいはからまりあって動いてきた。
 現実から眼をそむけては繁栄はありえないことは歴史の教訓だ。しかし、真実を唱えれば勝利を呼び込めるほど安易でもない。
 科学・非科学総合的な価値観が、国家にも不可欠である。
 政党が複数あり、政策を競うことは望ましい。だが、選挙で最適の結果が出ることが重要である。
 少なくとも、いまある政党の中で最善の政党が選ばれて政権につくことが望まれる。
 六カ国協議を見守ればわかるが、北朝鮮を除く5カ国が一枚岩かといえばそんなことはなさそうだ。
 拉致問題は日本にとって大問題だが、ほかの国にとってはそうでもなさそうだ。
 日米同盟は強固なものであると信じたいが、日本とアメリカにだって利害が一致しない部分がたくさんある。アメリカの言うとおりにすればいいというもんじゃない。だから、ひとつの選択としてありうるのは、日米の基本的な同盟関係を確認しながら、個々の案件ごとに対処方針を慎重に打ち立てて、それを最大限実現すべく国の関係者が一致協力して臨むことが望ましい。
 そこで、留意すべきは、国民にすべてが知らされるわけではないということである。機密情報は公表されない。また、二国間あるいは多国間の交渉も公表される部分と公表されない部分、さらには意図的に強硬発言をしたり、柔和な懐柔策をとったりする部分もありうる。
 すべて交渉には戦略と戦術が必要だ。十分に練り上げられて構築された戦略・戦術が。
言い換えれば、「国家としての価値観」の構築がきわめて重要なのである。それは、国家の政策であり、政権にある政党そして内閣総理大臣の政策ということである。
 なんだ、そんなものか?といわれるかもしれない。
 だが、現実にあるのは、実にありふれた政策である。新聞やテレビでしょっちゅう眼にしたり耳にしたりする情報が、実はきわめて重要なのである。そのことを忘れてはいけないと思う。
 あまり興味のないひとも多いかもしれないが、選挙は最重要な機会だ。
 来る参議院議員選挙には積極的に投票しましょう!