南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

価値観の共存(価Ⅱ=8)

 人類の歴史が教える知恵を最大限活用して世界に最大限の平和と繁栄をもたらすようにするにはどうしたらいいか?これが価値観の共存共栄であり、この研究がめざすところである。

 キリスト教イスラム教、仏教、ヒンズー教ユダヤ教などの宗教や、資本主義、社会主義などの政治経済体制、人種や言語などの違いや歴史的な経緯などを乗り越えて、共存することこそ人類にとってもっとも望まれるところだ。

 つまり、複雑な要素を踏まえて、人類にとって最大のプラスを導くような解を求めることが重要なのだ。複雑な方程式を解いて解を求めることがたいせつだ。その方程式は、常識とはちがった解をあたえることがあるかもしれないが驚いてはいけない。

 具体例をあげよう。

 テロ対策法の延長問題だ。

 日本は、国内問題を処理すると同時に国際的な対応もうまくやらなければならない。国際社会でいきていかなければならないのだから。

 戦争放棄が可能ならそれにこしたことはない。だが、残念ながら今の国際情勢においては、方程式には政治、外交、経済、貿易、協力、援助などと並んで軍事という変数が存在する。つまり平和の維持のための戦争という矛盾に満ちた変数があるのだ。

 国家間の利害調整のために国連などの国際機関が存在する。できるだけそのような国際機関の機能によって問題が解決されるのが望ましい。しかし、現実はなかなかそうはいかない。

 現実は、さまざまな利害が錯綜している。それを大義名分という仮面や衣装が覆っている。表向きは正義だが内実は利害だ。

 そういう国際政治の力学の中で、最善の答えを出そうとしているのが現実の外交であり戦争であると見てよい。

 テロ対策法の延長はきわめて重要だ。個人的には延長すべきだと思うが、それはそれとして、国会で慎重な審議のうえ適切な結論を出してほしい。

 外交はガーデニングのようなものだといわれるようだが、雑草が生えれば取り除き、病気が発生すれば消毒したり、病変部分を取り除いたりする必要がある。それを怠ったり、タイミングが遅れたりすると、重大な事態を招く。常に個別の事柄に対して最善の対応をとらなければならない。基本方針ももちろんたいせつだが、日々起こる大小さまざまな事態に的確に対処していくことが大きな流れの中で方向を誤らないためにはきわめて重要なことである。

 安倍内閣のかかえるいろいろな重要事項や閣僚のスキャンダルなど安倍総理は心労が絶えないと思われるが、こまめに雑草を抜いていく辛抱が必要だ。大胆にして細心の決断と実行が望まれる。

 イラク問題にしても北朝鮮問題にしても、たいせつなのは、彼らをいためつけることではない。硬軟両用の戦略を駆使しながら、共存共栄できる一致点をもとめることである。気に入らない同士でも、いかに衝突を回避して生きていけるか?それこそ真に求められる方策である。

 「異なる価値観の共存共栄」こそ忘れてはならない重要な視点だと思う。

 そのことを重ねて強調したい。