南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

人間関係=その13(グループ)(価値観の研究=その40)

 前回は、二人の人間関係と三人の人間関係の違いについて述べた。それでは、4人、5人、6人・・・と人数がふえていくと人間関係はどのように変化するのだろうか?

 友人だけの場合、職場での場合、地域の場合、他人が混じる場合、パーティーの場合、ボランティアの場合、旅行でたまたまいっしょになった場合など、ケースバイケースかもしれない。

 ここでは10名程度のグループについて考えてみよう。
 
 ひとつのグループとして行動するには、なんらかの計画やリーダーやガイド役が必要だ。
 それが明確に定まっていれば、円滑な行動が可能になる。

 しかし、それが不明確であったり、リーダーにリーダーシップが不足しているときなどには、トラブルが発生しやすい。

 意見が分かれるとか、利害が反するとか、責任感がないとか、いろいろな事情により、物事が進まないことはよくある。

 仕事なら、上司の立場にあるものが決定するしかない。それができなければ、その上司は、追々、異動になるだろう。
 私的な場合なら、流れに任せてみて、うまくいかないなら、やめてしまえばいい。

 お気づきのように、価値観が複数あって競争関係になるときは、選挙とか、上司とか、決定のための手続きによって決められるのが望ましい。

 手続きが明確でないと、無用な争いを招き、時により、暴力沙汰になる。

 ある程度、人間がふえてくれば、意思決定のプロセスがきわめて重要になる。

 そして、競争に決着がつかざるをえない、競争関係にある複数の価値観と、
     共存しづける複数の価値観が、ありうる。

 たとえば、選挙では、だれが当選するか決定される。
 しかし、選挙民がだれを支持するかとか、どんな食べものがすきかとか、どんなタイプの人間がすきかとか、は勝ち負けはつかない場合である。

 また、価値観には、グループとしての論議を経て統一された価値観と、グループ内での個人の価値観が統一されることなく行き続ける場合とがある。さらには、同好会のようなグループでは、おおきなくくりとしての価値観の共有がみとめられても、細部においては、個々人の価値観が生かされる、というようなケースも想定される。

 グループの性格と、個人のグループへの属し方によって変わってくるのだといえよう。

 こうしたとらえ方の延長線上に、もっと大きな人数の組織や社会における価値観の存在の仕方(たとえば、共存とか、競争とか、階層性とか、相互否定とか・・・)が浮かび上がってくるだろう。最終的には、地域、国家、さらには国際関係へと。