南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

2021-07-19から1日間の記事一覧

シェークスピア ソネット 121

ソネット 121 W. シェークスピア 放埓でないのに放埓だと非難されるとき 放埓だとみなされるより実際に放埓である方がましだ 自分の感覚ではなく他者の見立てで判断されるなら 自分が正しい行いをしているという喜びさえ失われる、 なぜ他者の偽りにして淫ら…

詩「嘆きの壁」

嘆きの壁 南原充士 はるばるやってきた巨大な壁 名もない壁だけれども 知る人ぞ知る壁 ここではだれも言葉を交わさない 黙って佇んで 祈りを捧げるだけだ 地図にも載っていないが 口づてに伝わり 人けが絶えることはない 心にはめいめいが 収まりきれない悲…