南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

詩「砂漠」

 

    砂 漠

 

        南原充士

 

濡れている

拭き取る

まだ濡れている

ぬぐいとる

くさい

消臭剤をふりかける

嗅ぐ

準備はととのった

なんのための?

外出はしない

どこかにこもるか

なにかがやってくるか

早くしないと

じわっと汗がにじんでくる

ふと気が遠くなるような気がした

目覚めれば砂漠にいるだろうと

ささやく声が聞こえた