南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

泪橋

     泪橋

泪橋 こだわりの店 用水の ほとりに立ちて 順番を待つ

付けたのは ホルター型の 記録計 臨床検査 技師の言うまま

寄る辺なき 川虫けらの ため息に おのれの呻き 重ねつつ病む

不覚にも 頭部裂傷 脳震盪 幻と見る 現世の揺らぎ

運命を 聴きつつこなす 雑用に 苛立つナイフ 切り刻む神

急流に 流される危機 乗り越えて 年の瀬を今 危うく渡る