南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

『 東日本大震災について思うこと 』

     

        『 東日本大震災について思うこと 』


                               価値観の研究第三部 その7

1.東日本大震災の発生

 平成23年3月11日に発生した東日本大震災の影響は、東北・北関東だけでなく、東京を中心とする首都圏さらには日本全体、海外までも及んでいる。
 今回の震災による被害の大きさと原発という特殊性が大きな影響を与えることとなったといえる。

2.風評被害

 放射能汚染についてはさまざまな風評被害が報告されている。チェルノブイリなど過去における原発事故の影響についての知見をもってしても説得力のある科学的な対応が困難であるという事情もあって、風評被害が起きやすいと思われるが、関係者が粘り強く対応をしていくことにより徐々に問題が解決されることが望まれる。

3.批判、誹謗中傷
 
 今回の震災による甚大な被害について、東京電力に第一義的な法的責任があることは明らかであるが、政府の法的責任については議論を要する。法的責任を超えた社会的道義的責任も考慮する必要がある。
こういう甚大な被害が起きた時、世論の盛り上がりにより、冷静な対応が困難になることがある。本来なら法的な責任を負わない場合にまで、賠償責任があるような議論がなされる。
故意過失によらない損害について賠償することは例外的であり、それなりの法的な根拠が必要である。また、政策的な救済措置として対応するならそういう趣旨を明確にしたうえで、予算措置・立法措置を講ずるべきである。
 最近のテレビや新聞報道を見る限り、政府や東電は犯罪者扱いをされ、問答無用の批判にさらされているように見える。もちろん、批判されるべきことについては徹底的な批判がなされたうえで、責任の追及がなされてしかるべきである。だが、被害者としての悲しみ、怒り、憤懣などを基礎とする感情的な批判には危険も伴う。世の中が戦争や災害や大不況等騒然とした状態になると、人心は乱れ、社会的不安が増大し、デマが横行したり、過激な意見が出回ったりするおそれがある。
 東日本大震災をめぐる今の日本の状況もある意味では世論形成に危うさを感じる。
たしかに、被害の状況や被災者の苦境を思えば、政府や東電の対応に不満を感じるのは当然かもしれない。だが、マナーやエチケットや法的なルールまで無視して他者を非難する姿勢や態度があることには行き過ぎを感じることもある。

4.今後の対応

 今なすべきことはとにかくできうるだけの対策を速やかに総動員して、復旧復興、原発の安定化を図ることだ。
 今、国内でも国際的にも、日本及び日本国民の鼎の軽重が問われている。国民全体が一致協力して最善の対応をし、一刻も早く新しい東日本を作ることが求められている。
 日本人の知恵と団結力をもってすれば、今回のような異常事態にも的確に対応することが可能だと信じる。
 内輪もめしたり仲間を誹謗中傷したりすることなく、ひとりひとりが可能な限り粛々と自分のなすべきことをなしていくことが求められていると思う。