南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

『新春コロナ雑詠』(短歌系・2021.1)

 

『新春コロナ雑詠』(短歌系・2021.1)

 

 

平凡の ヘブンに近く カナブンの

ブンブンに似て ひとり賑わう

 

おまえさん ここが痛いよ いや違う

壷を押さえて ぐっと揉んでよ

 

わが生が 小説よりも 奇なりとは

思えぬままに コロナ拡大

 

いい人の 振りをするのも ひとならば

許されてある 悪の役柄

 

悪口を 言って心が 晴れるとは

言えぬ思いの 幸先の梅

 

これこそが 探していた カップだと

コーヒーミルを 軽やかにひく

 

そんなもの どこがいいのと つぶやいて

嫌われ顔で 去り行くだれか

 

退屈や 鬱屈あれば ためらわず

韓流に行く 気持ちはわかる

 

見た目より やわな神経 一言の

ダメージずしり ダメダメダメよ

 

被災地に 生まれた歌を 口ずさむ

声こだまする 成人の日に

 

今日もまた 願いは強く 熱ければ

空より来たる 閃光を見る

 

コロナなら こもりて読める キンドル

ページを送る 指先綺麗

春野たんぽぽ詩集『赤い表札』

春野たんぽぽ詩集『赤い表札』。第一部赤い表札では故郷を舞台に少女時代の思い出が正直に語られる。第二部環状線では大阪に出てきてからの経験が故郷との対比の下に描かれる。詩は次第に現実にフィクションが加わり立体性とユーモアが魅力を強める。独自の発想で詩を切り開こうとする今後が楽しみだ。

南原充士のプロフィール(2021年)

 

南原充士(なんばら・じゅうし)のプロフィール

 

                  2021年6月現在

 

1949(昭和24)年2月7日生、茨城県日立市出身

1972(昭和47)年3月 東京大学法学部卒

日本詩人クラブ会員

本名 桑原 薫(くわばら・かおる)

 

詩、小説、575系短詩、57577系短詩、英詩翻訳、評論、エッセイ等幅広く手掛けていますのでどれかひとつでもご覧いただければ幸いです!

◇既刊詩集13冊:

 

『散歩道』『レクイエム』『エスの海』(以上、私家版)

『個体から類へ涙液をにじませるfocusのずらし方・ほか』(近代文芸社

『笑顔の法則』(思潮社) 

『花開くGENE』『タイムマシン幻想』『インサイド・アウト』『ゴシップ・フェンス』『にげかすもきど』『永遠の散歩者 A Permanent Stroller』(以上、洪水企画)

『思い出せない日の翌日』(水仁舎)

『時間論』(Kindle 版)

 

◇所属詩誌:『space』『repure』『詩素』『buoy』

 

◇既刊小説8冊:

* Kindle   小説

『エメラルドの海』

『恋は影法師』

メコンの虹』

『白い幻想』

『血のカルナヴァル』

カンダハルの星』

喜望峰

* BCCKS    小説『転生』

 

◇575系短詩(俳句のようなもの)及び57577系短詩(短歌のようなもの)

 適宜、『きままな詩歌と小説の森』及び『続・越落の園』に掲載。

 

◇評論及び書評

 適宜『きままな詩歌と小説の森』及び『続・越落の園』に掲載。

 

◇ブログ:*『きままな詩歌と小説の森』 https://nambara14.exblog.jp/

     *『続・越落の園』https://jushi14.hatenablog.com/

                  ―論考『価値観の研究』ほか掲載-

 

◇翻訳詩: * ディラン・トマス小詩集(16篇)  

* シェークスピアソネット(全154篇を少しずつ翻訳中)

以上は、上記『きままな詩歌と小説の森』に掲載中。

 

Amazon著者ページː https://www.amazon.co.jp/l/B00UBG2BMI

 

SNStwitterFacebookmixi、灰皿町

 

◇メールアドレス: nambara25@hotmail.com

小説『喜望峰』の感想

 

小説『喜望峰』を読んだ感想を、下記のように寄せてくれた方がいます。
このような言葉は実にありがたく励みになります。皆様も是非宜しくお願いいたします!
「小説は楽しく読ませていただきました。白金の採掘という
ロマンあふれるビジネスが興味深かったです。『喜望峰』というタイトル通りの内容で、コロナの疲れを軽くしていただいた気がしました。」...
もっと見る
喜望峰 南原充士全集

2021年 丑年

2021年 丑年

 

目覚めると

あふれる光が

新しい年を知らせる

 

沖を行く老朽船の

針路を示す計器盤

電波は見えない

 

年を越せなかった命が

凍らせる背筋

生者は黙々と歩き出す

 

どんなことがあっても

乗り越えていこう

もぐもぐと草を食む牛の群れ

明けましておめでとうございます!2021年

I wish you a happy new year!  2021

 

謹賀新年 令和3年!

 

みなさまのご健勝とご活躍をお祈りいたします。

今年もよろしくお願いいたします。

コロナの終息を祈りつつ

リモートでのお付き合いを大切にしたいと思います。

『2020年紅白を聴く』(57577系短詩)

 

 

『2020年紅白を聴く』(57577系短詩)

 

 

だれもみな バイアスの罠 陥りて

呻吟しつつ 光をつかむ

 

誰の言 信ずべきかは 自らの

身を切るごとき 精進の果て

 

轟轟の 幾万人の 叫喚に

真実告げる 沈黙を聞く

 

年の瀬は 心静かに 窓辺にて

日に当たりつつ 海苔餅を食う

 

さびしさを にぎわいに変え 悲しみを

喜びにする 魔法がほしい

 

そのひとの 機嫌の悪さ 気づかずに

不機嫌のまま 年を越せない

 

ちょっぴりは 口げんかして 仲直り

できるうちなら 幸せ者よ

 

ねたみなど もたないつもり みちたりた 

ミニマムあれば よしと思って

 

花屋には 滅多に行かない 暮れなれば

正月用の 花束を買う

 

花の名は 知らぬカタカナ 覚ええず

和名に変えて 持ち帰る道

 

はるばると 来ぬと思えば いとしさも

一入なりと 聞く鐘の音

 

わはは鳩 からから鴉 へへへ蛇

さよなら子年 笑うっしっし

 

ひとはみな かわいい生まれ ナルシスの 

幻影映る 水辺に群れる

 

紅白を 見てきた自分 振り返る

 よくも悪くも 日記の一部

 

美と醜は メビウスの輪か くっきりと

裏と表を 剥がしきれぬか

 

年ごとに 先ゆく時に 遅れるを

気づかぬままに 迷い歩くか

 

時代とは 見えない川か 流れつつ

人も事物も 置き去りにする

 

だれひとり 狂乱の渦 避けきれず

悲鳴は裂けて 光は消える

 

一個人 無限の後に 生まれ来る

まだ見ぬ宙に 思いを馳せる