南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

換気に走る

 

         換気に走る

 

花冷えの 春の嵐に 煽られて 歓喜無くして 換気に走る

散歩する 急傾斜地の 住宅地 はじめて下る この兎坂

細長く 曲がりくねった この坂を 昔は兎 走り過ぎたか

家並に 隠されてある 土の坂 ひとり辿れば 古偲ばゆ

今日もまた 新たな感染 死者数が 報告されて 心落ち込む

8割の 外出自粛 2週間 どうか数字が ゼロに近づけ

ひきこもる 家をいこいの 園として 表情筋の 体操をする

王冠の 支配を避けて 生き延びる 人類は今 戦う味方