南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

『はやぶさ2の帰還』(57577)

 

はやぶさ2の帰還』

 

 (57577系短詩 2020.11~12)

 

 

 

いるだけで 傷つけあうは 定めなら

お茶を濁して のらりくらりと

 

おちょやんの 子役はうまい 毎田暖乃

台詞ぽんぽん おもろいほんま

 

我が心 星に託して 空を飛び

忘れたころに 帰る喜び

 

こつこつと 仕上げたものは つつしんで

そっと差し出す ふるえる手にて

 

未だ見ぬ 鬼滅の刃 倍返し

縁なきものも やがて縁付く

 

晴天を ひとり占めして 手を広げ

深呼吸して 吸い干す大気

 

一寸の 虫にはあらず さはあれど

五分の魂 心に燃やす

 

曇り空 窓より見れば 鴉舞う

一筆書きの 無限のマーク

 

宝くじ そろそろ運の 使い時

そっと手を出し さっとひっこめ

 

嫌われて 嫌い返して 嫌い合い

嫌い疲れて 嫌いが嫌い

 

気に入りの 曲を並べて 聴き惚れる

気づけば夜空 キラキラ星よ

 

あわただし あわいにあれど あわてずに

あわだてて飲む あわきカフェラテ

 

朝毎に ミチクサ先生 読むたびに

思わずゆるむ 頬の筋肉

 

法律は 退屈なれど 争いの

規範となれば あらためて見る

 

チェックして 不具合あれば 申し出る

寒空を舞う 鴉追いつつ

 

肺を突く 怒涛のような コロナにも

乱されぬ芯 灯して生きる

 

それならば 開き直って 一寸の

虫の如くに つぶやいて行く

 

わからない 他者の感覚 あきらめて

そんなものかと 恬淡と行く

 

今日もまた 午前零時を 跨ぎ越す

時を貫く トンネルを抜け

 

われと他者 あまりの違いに 愕然と

立ちすくみつつ もっともと知る

 

このところ 笑ってないと 鏡見て

作り笑いの 練習をする

 

こわばった この顔は誰 一瞬の

忘却ありて 苦笑いする

 

心から 笑えるときが 来ることを

祈って眠る 寝顔は知らず

 

幾たびも 濾過繰り返し 透明の

無色無臭の 水甕の水

 

観念と 抽象的と 朦朧と

退屈至極 普遍の霞