南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

モーツァルトイヤー

 モーツァルトイヤーの熱狂もあと数日。

 ことしはモーツァルトイヤーということに乗せられて
浮かれて過ごした一年だった。

 しかし、個人的には、大きな収穫があったので、時間とお金を有効に使えたと思う。

 180枚のCDをとっかえひっかえほぼ毎日のように聴いた。

 オペラは、フィガロの結婚ドン・ジョヴァンニコジ・ファン・トゥッテ魔笛の4本を生で観た。

 コンサートは、10数回。レクイエム、室内楽フォルテピアノによる演奏など。

 セミナーにも参加。

 某文学雑誌に、モーツァルトのオペラと題してエッセイも書いた。(まだ発行されていないが)

 ことしのはじめまでは、それほどモーツァルトファンではなかった。

 しかし、今はぞっこんモーツァルトにほれ込んでいる。

 こんなにすばらしい作曲家だったんだ!

 それをわからなかった自分の不明をはじなければならないかも。

 崇高にして親しみやすい、芸術の極致と娯楽性が両立している稀有な例だ。

 バランスがいい。楽器を組み合わせる名人。合唱の名人。オペラの名人。

 35年の生涯をひたすら作曲に打ち込んだ。運命だったのだろう。

 天才中の天才。ベートーベンともバッハともちがう軽快さがおもしろい。

 来年は、世間の熱狂は冷めるかもしれないが、ぼくは聴き続けようと思う。

 そして、ベートーベンにももっと深く浸ってみたいと思う。

 すらすらと書いたモーツァルトとつまずきつまずき書いたベートーベン。

 真相は知らないが、イメージとしてはそうだろう。

 だが、できあがった作品は甲乙つけがたい傑作群だと思う。

 バッハとあわせたこの3人の作曲家はやはり特別なんだと思う。

 彼らの音楽から学んだものを糧に

 ぼくとしては、やはり日本の文学を生み出したいと思っている。

 なかなか難しい道だが、気概だけは強く大きく持っていたい。