南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

樫本大進

 昨日、紀尾井ホールで開かれた、室内楽のコンサートに行った。

 バイオリン:樫本大進
 ビオラ:川本嘉子
 チェロ:堤 剛

 のトリオだった。

 出し物は、・ある20世紀の作曲家の小品。バッハへのオマージュ。

      ・ベートーベンの三重奏曲。

      ・バッハのゴールトベルク変奏曲(編曲版)

 新聞でも非常に高い評価がなされていたので期待して聴きにいった。

 結果は、残念ながら、いまいちだったといわざるを得ない。

 おそらく、3人のアンサンブルがうまくかみ合わなかったのが最大の問題点だったと思う。

 ビオラがうまく乗り切れなかったような気がしたのだった。

 もうひとつは、樫本大進自身の演奏が線が細い印象だったことだ。

 ヨーロッパ育ちらしい骨太の演奏を期待したのだが、音が弱かった。

 ソロの演奏だったら、また、ちがった魅力が発揮できたのかもしれない。

 ゴールトベルク変奏曲は、一時間以上にわたる熱演で、さまざまな速さと音色と調子と楽器のかけあいが変化に富んでいて十分聴かせるレベルではあった。努力賞といった感じで。あれだけの難しいテクニックを長時間駆使しつづけるだけで尊敬に値すると思った。と、同時に、もっと高いレベルの満足感を望んでしまうのも、聴衆のわがままだろうか。

 クレーメルのような迫力ある演奏になじんだ耳には、樫本大進はひよわに思えて、ちょっと残念な思いがした。

 そのあたりはどのようにとらえたらいいのだろう。

 どなたか教えてくださるとありがたいです。