南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

情報の洪水(価値観の研究=その17)

 たった一日分の新聞に載っている情報量でもめっちゃ多いのに驚く。
 
 政治、国会の動き、経済、社会、外交、国際、スポーツ、芸術、文化、芸能、テレビラジオ番組、出来事、事件事故、スキャンダル、トピック、エピソード、囲碁将棋、お知らせ、連載小説、広報、広告、特に、週刊誌の広告などジャンルも多様で、内容も多岐にわたっている。

 とてもじゃないが、すべての情報をつぶさにチェックすることはできない。自分にかかわりのあることや、関心のあることに限ってフォローするということにならぜるをえない。

 ここに、「情報の取捨選択」がなされる。

 ひとそれぞれ、利害関係や関心事の範囲、理解能力や自由時間の量などの違いによって、取り入れる情報の種類や量や優先順位は異なってくるだろう。

 ある全国紙の朝刊があるとする。一面トップ記事はなにか?二番目、三番目は?
 2面3面4面・・・30何面まであるだろう。

 たとえば、ぼくの読み方をご紹介しよう。

 新聞社の優先順位とは別に、ぼく個人にとっての優先順位を考える。

 その優先順位にしたがってある記事をどれくらいまで読むかどうかを決める。

 ・・・なーんてえらそうなことを言っても、実は、いい加減な直感でそういう取捨選択をしているだろうなあ。

 大部分は読んだそばから忘れてしまうだろうし。

 しかし、何日か連続して新聞を読んでいると、ひとつのテーマが繰り返されるので、記事への理解力は高まる。それでも、報道された記事の内容の評価は、慎重にしなければならない。それは自分なりに考えた上で決定しなければならない。

 きょうのニュースを読み取るには、きのうまでの情報の蓄積が役に立つ。

 ぼくは、ジャンルごとに漠然とではあるが、ある程度の考え方をまとめている。「価値観の体系」の各部分として。

 僕の考えでは、なんといっても重要なのは、国の安全だ。安全保障。つきつめれば、軍事力と警察力だ。
したがって、外交や軍事についてのニュースを最優先して読む。日米安保条約基地問題
国連安保理の動向。北朝鮮関係。中国、韓国、ASEAN。などなど。天皇皇后両陛下がヨーロッパ各国を歴訪されているというニュースなどは、眼に止まりやすい。

 イラクの情勢はあいかわらず泥沼だ。イランも核開発について独自路線を貫いている。
 最近では、レバノン情勢も不穏だ。パキスタンアフガニスタンも不安材料がいっぱいある。その他、世界には、紛争地帯がなんて多いのだろう?心が痛む。いつになったら、解決されるのだろうか?

 宗教によっては、夫婦でもないひとが人前で抱き合ったりキスしたりするのが、教えに反するということがある。某国の観光大臣がスカイダイビングのインストラクターと抱擁しただけで辞任に追い込まれそうだという報道があった。こういうことに対しての判断はむずかしい。いろいろな戒律や教義がありうることを再認識させられる。

 安全の次にたいせつなのは、経済だ。まず、食べること。着ること。住むこと・衣食足りて礼節を知る。の類だ。日本の経済状況がどうか?これからどうなるのか?そういうことについて、自分なりの見方を持つ。経済成長率。国際収支。輸出輸入額。失業率。企業の経営動向。金融の動向。証取法外為法の違反状況。M&Aの動向。など。

 次に、社会が安定していることが重要だ。家族がしあわせに暮らせるためのさまざまな要素。職業。教育。育児。医療。介護。年金。結婚。離婚。冠婚葬祭。地域。社会基盤。水道光熱。電話。通信。テレビ。PC.ケイタイ。交通。など。安心して生活できる社会環境が整備されることがたいせつだが、これは、国や公共団体。企業。学校。隣人。親類。家族。友人知人。幅広いネットワークによって確保される。

 その次に、娯楽やレクリエーションだ。スポーツ、芸術、旅行、映画演劇コンサート、カラオケ、つり、賭け事、登山、ハイキングなどいろいろなごらくがある。ひとぞれぞれの好みによって、そういう楽しみを見つけて、実際に行動に移せるような仕組みが形成されることがたいせつだ。

 さらにはボランティアなど社会奉仕や社会貢献といったジャンルがあるかもしれない。

 このように、自分なりに、ジャンルわけをし、優先順位をつけて、新しく入ってくる情報を評価し、仕分ける。

 それによって、断片的な毎日の出来事も、自分の中では、「価値観の体系」の中に取り込まれてきちんと位置づけられるということになる。

 実際にそこまで緻密な操作はできないまでも、そういう方向性をめざして情報を受け入れている。

 ほかのひとの参考になるかどうかはわからないが、一応、ぼくなりの新聞やテレビからの情報の受け取り方の一端を述べてみた。