南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

平山郁夫(価Ⅱ=9)

 きょうのテレビで平山郁夫のインタビューの場面があった。
 それによると、平山は、新たに、シルクロードの大作にとりくんでいるのだそうだ。

 平山は、尾道の出身で、被爆体験もあるらしい。その暗い体験が根底にあって、彼の美術に影響を与えてきたそうだ。美術とは楽しくてひとびとに喜びを与えるものであってほしいという思いと原爆のつらくて重い苦しみ悲しみとをどうとらえたらいいのか?

 瀬戸内海にしまなみ海道ができたときに、平山は水彩画で橋のスケッチをたくさん描いた。そんな抒情的な小品の名手でもあるが、今回は、ローマから中国さらには日本へと延々と続くシルクロードを絵巻物のように描こうという壮大な試みである。

 なぜシルクロードか?

 かれは、答える。

 「さまざまな宗教や文化や人種のちがいをこえてひとすじにつながるものがシルクロードにはある。波乱万丈の歴史の痕跡を残すシルクロードの各地の遺跡や遺産。それを描くことを通して、異なるものをつなぐ一筋の糸を見出したい。」

 そんな趣旨だったと思う。

 ぼくがかかわっている「異なる価値観の共存共栄」というテーマとも合致していて、ひどく興味をそそられた。

 今後の制作の進捗状況を期待しながら見守りたいと思う。