南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

名目GDPの減少(価Ⅱ=15)

 きょう(平成19年12月27日)の新聞各紙の報道によれば、2006年の日本の名目GDPは、4兆3755億ドル。前年比4%減。世界に占める割合は、9.1%で、24年ぶりに、10%を割り込んだとのことだ。(内閣府26日発表)
 また、国民一人当たりの名目GDPも、OECD加盟国30カ国の中で18位と前年の15位から下落した。

 その理由は、円安やデフレ脱却の出遅れで名目経済成長率が伸び悩んだことが背景にあるという。

 こういう危機感をあおる報道姿勢は、新聞の常だ。

 改革の遅れが最大の停滞理由だというのは間違っていないと思うが、日本はこれまで、延々と諸改革を実施してきたのではなかったか?特に、小泉内閣などは、「改革内閣」といってよかったと思う。

 だとすれば、こうした日本の経済の伸び悩みはある程度避けられないものなのだと考えて、冷静に現状分析をしたうえで、現実的な成長路線を模索する必要があるのではないか?

 高度成長期のようなわけにはいかない。中国やインド、ロシアやブラジル(いわゆるBRICs)に加えて、ASEAN諸国やその他の開発途上国もめざましい発展を遂げつつある中で、日本の相対的な位置づけは過去とはまったくちがっている。

 いたずらに焦りを誘うことなく、可能な範囲での、プログラムを練り上げるために、まず政府レベルで政策立案や予算、金融、税制、その他の総合的な重要な課題について、有識者をまじえて十分論議を尽くす必要があると思う。その上で、新たな日本の目指すべ指針を策定する。そして、各省庁、民間のさまざまなセクターが連携し、協調をとりつつ、現在の日本の身の丈に合った着実な成長戦略を構築し、推進すべきだと思う。

 このような衰退傾向があらわれると、概して、浮き足立った議論が展開されがちだが、そういうときこそ、落ち着いて、現状を見据えた、的確な政治や経済運営がなされることを切望するものである。