南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

健康法(価Ⅱ=20)

 人間は一般的には長生きしたいと思うだろう。

  不老長寿の薬とか長生きの秘訣とか加持祈祷とか歴史をさかのぼると、さまざまな生への執着事例が見られる。

 運命は過酷でいたずらだから、現実は想像を絶する数奇な生老病死の列伝であり博物館である。

 ピラミッドもミイラも始皇帝兵馬俑も古墳も永遠の権力といのちへのあくなき欲求のあらわれだとみることができよう。かの藤原道長は病に冒されたとき、長寿を願ってひたすら念仏を唱えたという。

 現代文明のもとで、人間の命はどこまでわかったのか?

 素人向けの医学書もたくさん出版されているので、目をとおしてみると実に参考になる。

 情報はたいせつだと思う。特に、最新の科学的な情報が。

 そういう情報をもとに「健康法」を一口で言えば、

1.バランスのとれた食事

2.適度な運動

3.ストレスの解消

 の3つに集約できると思う。

 それで、気になるのは、「ストレスの解消」ということだ。

 これは肉体と精神の両方の要素があるように思える。

 精神作用については、脳の物理的な作用だとらえるのが有力な考え方だと思うが、精神が肉体と独立して存在しうるかどうかについては現在でもなお完全には証明できていないらしい。

 それはともかく、気の持ちようで人間の体の健康が左右されるというのは面白い。
 特に、免疫力に大きな影響を与えるらしい。

 笑う門には福来る・・・というのは実に科学的に見ても真理である。

 笑えば、免疫力も高まり、病気にかかりにくくなり、健康になる。健康になれば、やる気も出て、公私共に充実した毎日を送れる。長生きもできる。

 科学万能の時代を迎えたように見える現代社会においてもなお精神世界が重要な役割を果たしているというのはふしぎなことだ。

 考えてみれば、この宇宙の生成や生命の誕生など、謎そのものなのだから、人間の存在やいのちが謎に満ち満ちていてもなんら不思議ではないのかもしれないという気もする。