南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

『不完全な人類でも進化し続けることができるか?』

  

   『不完全な人間が社会や国家を作り不完全な情報と判断力で不完全な結論を積み重ねるの
     を前提に世界は徐々に進歩するだろうという希望を捨てないでいられるか?』

                          (価値観の研究第三部その9)(価Ⅲ=9)

1.時間は止まらないから、とにかく世界は変化する。地球上の人類も変化の歴史の流れの上にいる。歴史を振り返れば、明るく楽しい出来事は記録が少なく悲惨な争いや災害や疫病などが目立つ。
 幾度も繰り返される不幸な出来事を前に人類は何度となく絶望し、じっと耐える中でまた希望を持ち続けてきた。
 現在の世界情勢も日本の状況も不確定で希望が持ちにくいと言わざるを得ない。
 それではどうしたらいいのか?

2.思いつくままに、いくつかの視点を列挙してみる。

・科学的に証明することは困難だが、人類はさまざまな方面で進化してきたし、これからも長い目で見れば進化し続けるだろうという確信を持つこと。
・ さらに、暴力を可能な限り抑制し、言論による紛争の解決を図ることを重視すること。
・ あるいは、意思決定のルールを決め常に見直すこと。
・ ルールを破った者に対する制裁を決めておくこと及び制裁を実効あるものとするための組織づくりや権限・財源の確保を進めること。
・さまざまな意見を述べる権利を保障すること(言論の自由)。
・異なる意見をつきあわせることによる議論の深化を促進すること。
・意見の集約方法を明確化すること(たとえば、多数決。)
・決まった結論は不満でも尊重すること。反対であることを主張し続けることはかまわない。
・次のルール改正や方針変更の機会を活用すること。
・世代交代を念頭に入れたルールや制度作りをしておくこと。
・すべてが不完全であることに絶望しないこと。
・平和、豊かさ、思いやり、相互扶助などの共通の価値をたいせつにすること。
・人生を楽しめるように協力し合うこと。
・ライフサイクルに応じた社会的なサポートを提供しうる仕組みを作ること。
・すべてはダイナミックなものだという認識を忘れないこと。 
・その他

3.これまでのところは科学的には証明されていないが、当面、人類が進化し続けるだろうという仮説を人類が共有できるように努力すべきだというのがわが信念である。