南原充士『続・越落の園』

文学のデパート

『一億人のための人生読本』(構想)(価Ⅲ=42)

   

     『一億人のための人生読本』(構想)


                                   価値観の研究第三部 その42

1.死というものをいかにとらえるべきかということを考えてみたら、生をいかにとらえるべきかという問題と切り離せないことが分かった。

 そこで、「人間の一生とはなにか?」というテキストを準備する試みをしてみた。ほんの概要だけだが、これまでにあまりなされた例がないと思う。「倫理社会」といった教科でも一部はとりあげられるかもしれないが、とにかく偏見のない立場から、人間の一生というものを総合的にとらえようとする書物はいまだあらわされたことがないのではないだろうか?

2.「人生読本」というのは古臭い言い方かもしれないが、わかりやすいとも思う。
 骨子みたいなものは一応書いてみたが、各論を肉付けするのは一人の手に余る。
 自然科学、社会科学その他多くの分野の専門家が分担して執筆することが望まれる。
 たとえば、妊娠から誕生をへて成長するステップは医学の専門家でないと正確にはかけない。
 婚約、結婚、親子関係、親族、相続などの法律的な問題は、法律の専門家が望まれるし、進学、就職、などもそれぞれの専門家に解説をしてもらうのが得策だ。
 とくに難しいのは、「人間はいかに生きるべきか?」といった哲学的テーマかもしれない。かたよらない記述をすることも困難な仕事だと思う。

3.おそらく、意外とおもしろいのは、職業のバラエティかもしれない。趣味とかスポーツとか旅行とか、いかにも楽しそうな過ごし方があるけれども、人間は職業生活の中に本気で時間を過ごす充実感を感じる場合が少なくないような気もする。もちろん、戦争や事故や災害への対応など、楽しむ余裕などないような職業生活もあるとは思うけれども。

4.いずれにしても、人間の一生を総合的体系的にとらえた教科書のようなものが国民ひとりひとりが所有し読まれるようになるといいと思う。企画から出版までの手間暇と費用をどうするかという問題が解決される必要があるが、とりあえずは、学校用の教材としてまとめるというのも現実的な方法かもしれないが、それも、文科省教育委員会や学校関係者や父兄や児童生徒が納得しなければ実現はできないだろう。
 わたしひとりの夢みたいなものかもしれないが、そんなことを考える昨今である。